■大きな犠牲の末に弟を助けたキン肉アタル
『キン肉マン』の主人公・キン肉スグルには、アタルという兄がいる。本来であればキン肉星の王位を継承するのは長男・アタルだったが、両親のスパルタ教育に耐えきれず、すべてを捨てて逃げ出したという過去があった。だが、アタルは家出をしたあとに生まれた弟・スグルのことを、陰からずっと見守っていたという。
そんな兄・アタルは、キン肉星王位争奪編に登場。正義超人の友情がなれ合いだと感じ、喝を入れるために現れたアタルは、キン肉マンソルジャーになりすまして王位継承サバイバル・マッチに参加する。
アタルはキン肉マンの友であるブロッケンJr、バッファローマン、そしてアシュラマンやザ・ニンジャを勧誘し、超人血盟軍を結成。この事実はスグルを大いに動揺させた。
その戦いを通じて、アタルは弟・スグルとその周辺の超人に真の友情を教え、未完成だったスグルのマッスル・スパークを完成させるために、アタル版マッスル・スパークを披露する。
だが、アタルの項目が書かれた預言書がたいまつの炎に焼かれ、それが原因でキン肉マンスーパー・フェニックスに敗北。アタルの肉体は消滅して灰となってしまったが、その後もスグルに助言を続けるなど、献身的にサポートし続けた。
最後は復活したものの、あまりにも大きな犠牲を払い、結果的に弟を助けたキン肉アタル。彼の弟に対する愛のかたちも、やはり不器用なものに思えた。
マンガやアニメにはいろんな兄弟のかたちがあるが、強いが故に弟の前にそびえる壁となり、成長を促そうとするケースは目立つ。そのやり方は不器用かもしれないが、弟への愛情が見え隠れするシーンは何度見ても心を動かされる。