不器用な兄弟愛を見せた「強すぎる兄貴」3選 『NARUTO』イタチ『北斗の拳』ラオウ、『キン肉マン』アタルなど…分かりにくい愛情表現も魅力?の画像
『北斗の拳』(コアミックス)第12巻・書影より

 漫画やアニメの世界において、血縁関係はストーリーの重要なポイントとなることも多い。とくに兄弟関係は、バトルものでは一時的に敵対するライバルとして描かれやすく、記憶に残っている兄弟キャラもたくさんいるのではないだろうか。

 とくに兄が圧倒的に強すぎる存在として描かれた場合、兄から弟への愛が伝わりにくい(あえて伝えようとしない)ケースも目立つ。そこで今回は、そんな弟への愛情表現が印象的だった3名の兄貴をご紹介したい。

■あまりにも不器用かつ献身的だった最強の兄

NARUTO -ナルト-』に登場する、もう一人の主人公とも言うべきうちはサスケの兄が、うちはイタチだ。イタチはうちは一族を皆殺しにしたことで、弟のサスケから命を狙われることになる。

 飛び抜けた忍術の腕を持ちながら誰よりも平和を愛し、弟に対する愛情も深かった男が突然起こした暴挙。その理由や自身の目的について、イタチは死ぬまで弟に明かすことはなかった。

 一方、サスケが兄を殺そうとする原動力は、一族を滅ぼしたイタチに対する強い復讐心だ。恨みを晴らすためにサスケは強くなり、イタチはサスケと対峙するたびに高い壁として立ちはだかる。

 そのすべては弟・サスケを想っての行動であり、イタチは最後まで孤独に戦い続けることになる。だが、その裏側には不器用な兄弟愛による悲しい真実が隠されていた……。

■戦うことでしか分かりあえなかった最強の兄弟

北斗の拳』に登場する北斗4兄弟の中で、唯一血のつながりがあるのがラオウとトキだ。ラオウは“世紀末覇者拳王”を名乗り、圧倒的な暴力と恐怖で世界を支配しようとする。

 そんなラオウは、かつて弟のトキに「自分が道を誤ったら、その手で自分を止めて欲しい」と約束を交わしていた。その言葉に従い、トキは兄のラオウに挑むこととなる。

 トキは自らの寿命を縮めて力を得る秘孔を突き、一時はラオウを圧倒するほどの強さを見せるが、それも長くは続かず。血も涙もない暴君だったはずのラオウは、次第に弱りゆく弟の拳を見て涙を流し、「効かぬのだ!」と叫ぶシーンもあった。

 結局ラオウは弟の命まで奪うことはなかったが、トキは病に冒されている上に、自らの寿命を縮めてまで奮闘した。そんな弟に対する情が残っているのならば、わざわざ命をかけて戦う必要はないとも思うのだが、そのあたりがラオウの不器用さなのだろう。

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