■たった1コマから伝わる“なんだかんだで仲良し”感
3人が一緒に食卓を囲む描写はちらほら出てくるが、中でも印象的なのが第5巻でのテロリストとの戦いを終えてからの1コマだった。
家で打ち上げをしたらしく、翌朝、リビングの机の上に寿司や餃子、ポテトチップスなどの食べかけが広げられっぱなしで、そのまま寝てしまったらしい3人が仲良く床に転がっている姿が描かれた。
3人そろって買い出しに行ったのだろうか、とか、いつも家をきれいにしているアキが散らかしっぱなしで寝るほど酔ったのか、とか考えると、たった1コマではあるがなかなか味わい深いシーンだ。相変わらず喧嘩ばかりで殴り合いもしばしば(アキ談)らしいが、一緒に過ごすうち着実に距離が縮まっていてほほえましい。
■アキの努力が実を結んだ…?デンジとパワーの変化
共同生活というと気になるのが家事の分担。料理はもっぱらアキが担当しているようだが、廊下の壁に掃除当番表なるものが貼ってあり、トイレ・風呂・玄関・居間を3人が日替わりで掃除していることがわかる。食後にデンジが食器洗いをするコマも出てきており、きちんと協力しあっているようだ。
家に来たばかりの頃、食べ物を食い散らかしアキをキレさせたデンジが、立派に家事をこなすようになっているとは。アキの教育(餌付け……?)の賜物だろうか。作中でアキが上司に「デンジは言うこと聞くようになったし パワーは野菜を投げなくなりました」と言うシーンもあり、完全に2人の保護者感を醸し出している。
また一度、デンジとパワーがアキのために料理を作って待っていたこともあった。“モヤシとソーセージと卵と醤油を炒め続けた”、しかもパワーの謎の隠し味が入った代物で、口にした瞬間吐いてしまうほどとんでもない味だったようだ。デンジもパワーも食べて吐いたというのだから、相当まずいのだろう。そんなヤバいものを平気で食べさせたという点はともかく、それぞれの変化や成長がうかがえて感慨深いものがある。
マキマに命じられ共同生活を送るうち、お互いイラついたり喧嘩したりしながらも、次第に家族のような絆を深めていった早川家の3人。彼らが物語の中でどのような活躍をするのかは、ぜひ実際に作品を読んでその目で見届けてほしい。
10月からのアニメではデンジ役を戸谷菊之介、アキ役を坂田将吾、パワー役をファイルーズあいが務める。映像で声や動きがつくと、彼らの日常生活にもまたちがった空気感が出てきそうで、放送が始まるのが今から楽しみである。