『チェンソーマン』何気ない日常パートから尊さが伝わる…早川家の絶妙な関係性、そしてそれぞれの成長の画像
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 2022年7月から『少年ジャンプ+』にて第2部の連載がスタートした藤本タツキ氏による漫画『チェンソーマン』。10月からはMAPPA制作によるアニメ放送も控えるなど、今まさに盛り上がりをみせている作品だ。

 本作の主人公であるデンジは、物語序盤で先輩にあたるデビルハンター・早川アキの家に住み始め、のちにそこに血の魔人・パワーも加わることに。はじめは上司命令でしかたなく共同生活を送っていた彼らだが、ともに生活するうち兄弟のような絆を育んでいく。マキマが作中で何気なく口にした、「早川家」という言葉がしっくりくる3人だ。

 悪魔を相手にした過酷なバトルが描かれる同作だが、激しい展開だけでなく時折挟まれる「日常パート」もまた魅力。今回はそんな早川家について、ストーリーには極力触れず何気ない描写に注目することで、その尊さを語らせていただきたい。

■問題児2人に振り回されつつ手懐け方も心得ているアキ

 マキマの命令によって一つ屋根の下で生活することになったアキ、デンジ、パワーの3人。ひとり静かに暮らしていたところに突然同居人が増え、しかもやってきたのは2人とも常識に欠けた問題児とあって、アキからしてみれば迷惑このうえない話だっただろう。実際、彼はマキマに「…なんで俺の家にヤバい奴ばかり集めるんですか」と不満らしいこともこぼしたのだが、“一番に信用してるから”と丸め込まれてしまっていた。珍しく頬を染め「…あ…ハイ」と受け入れてしまうアキ、それでいいのか。

 当然はじめから共同生活が上手くいくはずもなく、アキは怪獣2人に振り回される毎日を送ることになる。というかパワーの傍若無人っぷりがひどいもので、料理に入った野菜を投げたり、風呂にはたまにしか入らない・トイレはたまにしか流さないと豪語したり……そんな彼女の問題行動の数々にはデンジですらキレていた。

 任務の際には、アキが“敬語を使え”と言っても聞かない2人にガムをチラつかせ、先輩と呼ばせてから「よし」と言って与えるという、思わずペットのしつけを連想してしまうシーンも。そのすぐ後に敬語はとれてしまっているのだが……。

 また、続く会話では、デンジとパワーがアキに“いたずらレベルじゃないいたずら”をしたことも明かされている。その内容については明かされていないが、「殺すぞ!!」とブチギレるアキの表情から、かなりヤバいことが推測される。

 と、こんな調子で、即席かつ無理やりまとめられたトリオにしては、案外最初から仲がいい(?)ほうなのかもしれない。

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