■待つしかできない…「アヌビス神」
エジプトでジョースター一行が出会ったのは、刀の形をした「アヌビス神」というスタンド。刀を抜いた者、もしくは刀身に触れた者を新しい本体としてスタンド能力で操ることができるというもので、刀本体が自我を備えた特殊なスタンドだった。
作中では牛飼いの青年・チャカ、床屋の主人・カーン、そしてポルナレフに憑依して承太郎を襲うが、最終的には刀身がナイル川に落ちてしまい、川底で静かに錆びていくのを待つだけという行動不能状態におちいってしまった。
アヌビス神以外にも、4部以降では遠隔自動操縦型のようなスタンドは多く存在するが、やはり自身の意思で動くことができないというのはかなりネックだろう。また、アヌビス神に至っては、スタンドが宿っているのはあくまで普通の刀であるため、折れてしまってはそこまでだ。
戦闘後、承太郎に「それまで戦ってきたスタンドの中で最も厄介で疲れる相手だった」と言わしめたアヌビス神だったが、やはり刀という一つの物質にできることは限られていたようだ。いろいろと惜しいスタンドのように思う。
■有効範囲狭すぎ!自身も巻き込まれてしまうかもしれない「バステト女神」
最後は褐色美女のマライアが使う「バステト女神」。スタンドはコンセントの形状をしており、触れた相手を磁石化させるという能力だ。
作中ではジョセフとアヴドゥルが彼女の術中にはまり、体に大量の金属がくっつき困り果てるという事態に。その威力は時間経過とともに強力になっていき、ついに2人を追い詰めたかと思いきや、結局マライアは金属まみれの2人に両側から押し潰されるという悲惨な結末を迎えてしまう。
この能力の最大の弱点は、本体である人間と対象との距離が離れすぎると磁力が弱まってしまうということだろう。そのため常に相手とつかず離れずの距離をキープしなければならず、結果マライアのように自身のスタンドが足をすくったり、そもそも自身が対象より肉体的に劣っていれば、本体同士の対決で負ける確率も高くなる。
加えてこのスタンドには発動条件の縛りがあり、まずスタンドのコンセントに触れさせなければならないので、常に危険と隣り合わせというわけだ。女性のマライアには少々不利すぎたか。
とはいえ、最終的にはどんなスタンドも「主人公補正」があれば強く感じるものなのだろう。ポルナレフのシルバーチャリオッツも、スタンド自体の戦闘力こそ高いものの、取り立てて特殊な能力を持たないシンプルなスタンドだがあれほどまでに活躍し成長した。
愛すべき敵キャラクターたちの多彩なスタンド能力。活躍の機会があれば、もっと輝いたはず!?