■幸せそうにごはんを食べる姿にクギヅケ!『甘々と稲妻』
雨隠ギド氏による『甘々と稲妻』は、『good!アフタヌーン』(講談社)にて2013年から18年まで連載されていた作品。原作コミックスは全12巻発売されており、2016年にはアニメも放送された。
高校教師・犬塚公平は妻を亡くして以来、5歳の一人娘・つむぎと2人暮らし。彼は料理がほとんどできないため、買ってきたものや外食で食事を済ませることがほとんどだった。
つむぎは父を気遣って何も言わないが、亡き母が料理上手だったこともあり、心の底では手料理を食べたがっていた。ある日娘の本心に気づいた公平は、ひょんなことから教え子であり、料理屋の娘でもある飯田小鳥とともに、料理の練習を兼ねた“ごはん会”をすることに。
公平たちが作ったごはんを食べるつむぎはいつだって、表情や動きや食べっぷりで幸せをこれでもかと表現してみせる。彼女が目をキラキラさせ、もりもり食べている姿は、一生懸命料理を作った人たちはもちろん、見ているだけの人たちも幸せな気持ちにしてくれる。
つむぎは物語が進むごとに大きくなっていき、幼稚園でケンカをしたり、初めてのおつかいをしたり、新しい友だちとの関係に悩んだり……と、いろんな経験が描かれている。そんな彼女が成長していく様子も、本作の見どころの1つと言えるだろう。笑いあり涙ありの犬塚家の物語から目が離せない。
何気ない日々の食卓を描いた日常系ごはん漫画。派手な展開は繰り広げられないが、読んでいるとあたたかい気持ちになれる作品ばかりだ。ぜひ疲れたときや癒しが欲しいときに手にとって、ホッと一息ついてほしい。ただ空腹時に読むのだけは避けたほうがよさそうだ。