宇宙世紀のガンダムシリーズでは、初代主人公のアムロ・レイを筆頭にどうしてもニュータイプと呼ばれるパイロットに焦点が当たりがち。モビルスーツ戦でも目覚ましい戦果を挙げるため、ファンの記憶にも残りやすい。
しかし、そんなニュータイプの活躍の影で「ニュータイプ並に強くないか?」と思うような輝かしい戦果を挙げていたオールドタイプもいる。そこで今回は、そんな実力派のオールドタイプのパイロットたちを紹介したい。
■アムロに隠れているが実はエース級の活躍?
アニメ『機動戦士ガンダム』で、ひょんなことからホワイトベースの乗組員となり、戦争に巻きこまれていった青年の1人がカイ・シデン。主人公のアムロや、わりと素直なハヤト・コバヤシと比べると少々ニヒルな印象のあるキャラクターだ。(アムロも大概クセのあるキャラではあるが……)
カイと言えば、ケガ人を置いて避難しようとしたところをセイラ・マスに咎められ、「軟弱もの!」と平手打ちされたシーンの印象が強いかもしれない。その後もたびたび憎まれ口を叩いたり、一言多い発言によってホワイトベースのクルーから反感を買う場面もあった。
当初は自己の保身ばかりを考えていたカイだが、ミハル・ラトキエと出会い、その死を目の当たりにしたことで彼の心境に大きな変化が生じる。ジャブローでカイが語った「ミハル、俺はもう悲しまないぜ」「おまえみたいな子を増やさせないためにジオンを叩く。徹底的にな……」という決意のセリフからも、それは感じとれた。
ホワイトベースに乗艦し、なりゆきでパイロットになったカイではあるが、ジャブローに侵入してきたゴッグをビーム・ライフルでぶち抜くなど、非凡な戦果を挙げていく。いかに試作機であるガンキャノンの性能が良かったとはいえ、あの過酷な一年戦争をア・バオア・クー攻略戦までしっかり生き抜いたのは、カイ自身の判断や技量によるところも大きいはずだ。
ニュータイプであるアムロの影に隠れて過小評価されがちだが、カイの撃墜数も二桁を超えており、普通に考えたらエースパイロットと呼んで差し支えない素晴らしい活躍である。