■現代にも引き継がれる少女漫画誌のホラー作品
90年代の作品を続けて紹介してきたが、最近の作品でも恐怖度は健在。『ちゃおデラックスホラー』2019年夏号に掲載されたハラミユウキ氏による「デリシャス☆タピオカ!」はツイッターでも一躍話題となった、とても少女向けとは思えない作品だ。
ちょうどタピオカが空前のブームを迎えていたこの頃。ストーリーは、都会からの転校生・キララが、タピオカを飲んだことがあるということでクラスの人気者になったところから始まる。もともとの人気者だった主人公・あゆは近所のタピオカ屋で自分もタピオカを飲もうとするのだが、高くて小学生のお小遣いではとても買えない。困っていたところに、タピオカを広めるために全国を旅しているという「タピ岡田」と名乗るタピオカが登場する。
ここまでギャグテイストで話は進むのだが、ラストでは想像できないほどおぞましいことが起きてしまう。
「タピ岡田」の協力で初のタピオカを味わったあゆ。翌日クラスのみんなにもタピオカを振る舞うが、“本物のタピオカ”を食べたことがあるキララだけは「まっず」とダメ出し。それを受けてタピ岡田がキララを呼び出し……。ラストはそれまでのかわいらしい少女向けの絵のタッチとは正反対な展開に。あまりにも突然の物語展開に震えた読者は多かったに違いない。同作は『ちゃお』のYouTubeチャンネル「ちゃおちゃんねる」でボイスコミック化されているので、ラストの大オチをその目で目撃していただきたいところだ。
また2021年に発表された、岬かいり氏の『笑顔の世界』も、いじめを扱った考えさせられるテーマやSF的な展開が、子ども向けではないと話題になった作品だ。こちらは漫画配信サイト「ちゃおコミ」で無料で読めるので、ぜひ大人の読者にこそ読んでほしい。
少女漫画発のホラーがとてつもなく怖いのは、今も昔も変わらず。その理由として、少女漫画のホラーは絵柄のポップさも相まって、ホラーシーンとの落差が激しいことがあげられるだろう。それにより、なおさら恐怖を強く感じてしまうものなのかもしれない。