■強運を味方につけて事業に成功するも…(『こち亀』両津勘吉)
最後に紹介するのは秋本治氏による『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公・両津勘吉。両さんの愛称で親しまれ、破天荒な毎日を送る警察官だ。
『こち亀』では、両さんがさまざまなビジネスに手を出して(一時的とはいえ)大成功をおさめるエピソードが多い。お金儲けにかける執念や個性的な発想、商才が功を奏すのだが、持ち前の運の良さも大きく作用していた。
もちろん作中では、大抵は自業自得な理由で最終的には破滅するパターンが定番ではあったが、そこに至るまでの両さんの運の良さはうらやましい限り。
それに両さんは大富豪と出会ったり、いろんなチャンスに巡り会える強運の持ち主でもある。とくに中川家の重要人物と深くかかわりがあり、圭一の大伯父である中川三亀松や、祖父のポール中川からは相当気に入られていた。中でも三亀松は、両さんに自分の持ち株を譲ったりもしている。
両さんの場合は運の良さもあるが、そのチャンスをものにする実行力や人柄も兼ね備えていた点も大きいのだろう。たとえ同じような運に恵まれたとしても、両さんのような成功(と失敗)をおさめるのは常人には厳しいのかも……。
今回紹介した強運に恵まれたキャラに共通するのは、どこか憎めない愛嬌がある点かもしれない。運の良さで成功していく過程で、読者からも愛される不思議な魅力を兼ね備えているようにも思える。