少年漫画では、努力を重ねて成長を遂げ、やがて大きな目標を達成するという流れは一種の王道と言えるだろう。苦労した末に何かを成し遂げることでカタルシスを得られるのが醍醐味だが、中には本人は大した苦労もせず、運の良さが功を奏してトントン拍子に成り上がっていくようなキャラクターもいる。
そういうケースは「友情・努力・勝利」がモットーの『週刊少年ジャンプ』(集英社)の作品でも見受けられ、思わずうらやましく感じてしまう強運キャラは確実に存在した。とくに目立った活躍をしたわけではないのに、事あるごとに持ち前の運の良さで良い方に転ぶパターンに憧れる人は多いのではないだろうか。
そこで今回は『少年ジャンプ』の作品に登場する、個人的にうらやましさを感じてしまった幸運なキャラを紹介。なお、ガモウひろし氏が生み出した“ラッキーマン”のような、もとから運の良さがウリのキャラは除いている。
■ただの道化から大道化師へと成長(『ONE PIECE』バギー)
今もっとも旬な幸運な男と言えば、尾田栄一郎氏の『ONE PIECE(ワンピース)』に登場するバギーではないだろうか。
物語の序盤に初登場したバギーは、ルフィと交戦。バラバラの実の能力を駆使して戦うが、あえなく敗北を喫している。この時点のバギーは、まさに“道化”という言葉がピッタリの小物にしか見えなかった。
そんなバギーに転機が訪れたのは、インペルダウン編で海底監獄に投獄されていたときかもしれない。エースを救いに来たルフィと鉢合わせ、ドサクサに紛れて脱獄を企てて、混乱の最中に仲間を増やそうと他の囚人たちを解放。自分よりも懸賞金が上の、腕の立つ囚人たちを多数引き連れて一緒に脱獄する。
続くマリンフォード頂上決戦では、ひょんなことからバギーがかつてロジャー海賊団の船員だったことが知れ渡り、元囚人たちから一目置かれることに。さらに四皇のシャンクスとは昔からの顔なじみで、親しげに接しているところを勘違いされ、実は大物だと担ぎ上げられていく。
そんな感じに、やることなすことうまくいくうちに「キャプテン・バギー」と慕われ、勝手に周囲の評価が上がっていったバギー。王下七武海、さらには四皇にまでのぼりつめたのはバギーの豪運によるところが大きい。
ただ、バギーの本当の実力に気づいている者も少なからずいるので、すべての仲間がバギーの実力を過大評価しているとも思えない。それでもついていこうと思わせるだけの人望がバギーにあるのだろう。