カバディ、ラクロス、社交ダンス…主人公の奮闘でルールや面白さを知った「マイナースポーツ漫画」3選の画像
画像は裏少年サンデーコミックス『灼熱カバディ』第1巻(小学館)

 8月11日は「スポーツ中継の日」である。1936年(昭和11年)のこの日、ベルリンオリンピックの女子200メートル平泳ぎ決勝で前畑秀子が優勝した。このとき、NHKラジオの実況中継を担当した河西三省アナウンサーが、「前畑がんばれ!」と38回も連呼したことにちなみ制定されたのだという。

 スポーツ観戦をしていると誰もが思わず熱くなることが多い。ひいきのチームを応援したり緊迫の展開にハラハラしたり、感動的な勝敗結果に涙するのも醍醐味のひとつであろう。

 令和3年にスポーツ庁が実施した世論調査によると、「この1年間に観戦したスポーツ(※東京五輪を除く)」について、1位はNPBやメジャーリーグを含む「プロ野球」、2位が「Jリーグ」、3位に「高校野球」が上位にランクインしている。その後も「サッカー日本代表」、「その他野球、ソフトボール」と続き、日本における「野球」と「サッカー」が根強い人気を見せつけた。

 だが、当然ではあるが一般にメジャーと呼ばれるスポーツ以外でも、私たちが熱くなれる競技はたくさん存在する。特に、スポーツ漫画の世界ではルールや何人で戦っているのでさえ曖昧だった競技が、読んでいるうちに段々と理解し夢中になることも多いのではないだろうか。

 そこで今回は、世間であまり知られていない競技に熱中する高校生の姿を描いた「珍しいスポーツ漫画」3選を紹介する。

■スポーツ嫌いの男子高校生が挑む“本能が現れるスポーツ”

「道具を使わない最強のマイナースポーツ」

 これは、2021年にテレビアニメ化が決まった際に作られた、『灼熱カバディ』ティザーPV内で流されたナレーションの一部である。2015年からマンガアプリ『マンガワン』で連載中の武蔵野創氏が描く『灼熱カバディ』は、高校の「カバディ部」を舞台にしたスポーツ漫画だ。

 本作の主人公である宵越竜哉は、中学時代までサッカーのスター選手「不倒の宵越」として活躍していた。だが、些細なミスさえ許さない監督や嫉妬まみれのチームメイトなどに嫌気がさし、高校入学を機にスポーツとは縁遠い生活を送ることになる。宵越を知るサッカー部などは勧誘を諦めずにいたが、手軽な人間関係を求める彼は自身の生配信を楽しむ日々を送っていた。

 ある日、同級生の畦道相馬が宵越を「カバディ部」に勧誘するため訪れる。自分よりも遥かに小柄な畦道に動きを封じられた宵越は、不本意ながらもカバディ部の見学におもむくことに。ネタ程度でしか知らないカバディをアホくさいスポーツとバカにする宵越に、畦道は「自分と仲間の肉体だけで勝負する…熱いスポーツだ」と猛烈に反論する。

 その言葉に偽りはなく、宵越がカバディ部を見学してみると、自分よりもはるかにガタイの良い連中が激しい練習をしていた。副部長の井浦慶にはめられた宵越は、畦道とタイマンのカバディに負け入部することになる。サッカーで名を馳せていた頃は「不倒」の異名を持つ宵越だったが、カバディ部の練習では何度も倒されてしまうのだ。

 初心者の宵越とともにカバディが学べる同作。読み進めていくうちに自然と、「この競技は人間の狩猟本能から生まれた格闘技」だという本編での説明にも納得してしまうのだ。また、小柄なカバディ部部長・王城正人など主要キャラには多くのバックストーリーが用意されているので、感情移入しながら物語が楽しめるだろう。

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