■一度捕まえたら絶対に離さない能力
単純な能力バトルが多かった3部に比べ、変わったスタンドも目立った第4部。同じく第4部に登場した鋼田一豊大の「スーパー・フライ」もそうだろう。
廃鉄塔そのものがスタンドとなっている「スーパー・フライ」は、鉄塔内に入ったものをそのまま閉じ込めるというもので、本体である鋼田一は3年もの間、鉄塔の中で自給自足の生活をしていた。代わりに誰かが鉄塔内に入ってくることで鋼田一は外へと出られるようになるが、鉄塔のある場所は、町から外れた広い野原の中。鉄塔からは決して出ることができないので、誰かが興味を示して近づいてくれないかぎり何もできずにいた。
もし中に閉じ込められた人間や外部の人間が、スタンドの能力を使い鉄塔を壊したりしようものなら、全ての攻撃は自分に返ってくる。強引に外に出ようとしても肉体が鉄塔の一部に変化してしまうので、自力で出ることはまず無理。仗助も「クレイジー・ダイヤモンド」でいろいろ試みたが、まったく意味を成さなかった。破壊や攻略することは、絶対に不可能なスタンドだった。
■何をされても死なないスタンド?
第5部で登場したカルネが使用する「ノトーリアス・B・I・G」もかなり不思議なスタンドだった。
このスタンドは本体のカルネが死亡してから発動するという、呪いのようなスタンドだ。カルネが死ぬことによって怨念を動力源として、動くものに反応して生物や物質を次々と飲み込んでいく。本体が死体ゆえに殺すこともできず、スタンドはどんどんエネルギーを吸収して、体を大きくさせていくという厄介な奴だった。
ジョルノたちは飛行機に乗った直後、「ノトーリアス・B・I・G」に襲われることになり、対抗する術を見出だせなくて飛行機を捨てざるを得なくなった。そして、海中に落ちたことでどうにか難を逃れることになったが、「ノトーリアス・B・I・G」はその後も、海上の動くものに反応して襲い続けているようだ。
このスタンドの恐ろしいのは、たとえ細切れにされてもそこから復活してもとの形を取り戻すところ。唯一の弱点はゆっくりと動いて攻撃されることだが、動きが遅すぎる攻撃では大したダメージを与えることもできないだろう。素早い攻撃ができないうえに、どうやったら死ぬのかも分からない、という八方塞がりのような状態なので、このスタンドを倒すことは誰もできないといえる。
相性によって強弱の立場が入れ替わることもある『ジョジョ』のスタンドバトルにおいて、今回紹介した3人はいずれも全く攻略のしようのない無敵にも思える。5部でブチャラティは「スタンド能力はその本人の無意識の才能」とそれぞれのスタンドの個性について語っているが、いずれもとんでもない不気味な本体によって発現した能力と考えて間違いないだろう。