宇宙を駆け、星をも砕く力を秘めた“最強エスパー”たち! 苦悩と愛が描かれた名作漫画の「超能力者」3選の画像
画像は2017年刊行のムック『超人ロックの世界』より(少年画報社)

 驚異的な身体能力、予知、透視、念力、テレパシーなど、通常の人間には備わっていない能力を持つ者を「超能力者」と呼ぶ。こうした思想は古代より存在し、インドのヨーガや仏教における「神通力」などがあげられる。超能力者を自称した人物では1970年代にユリ・ゲラーが日本のお茶の間を席巻したが、「千里眼」を持つとされた御船千鶴子なども有名で多くのフィクション作品に影響を与えてきた。

 手を触れずに物を動かすサイコキネス(念動力)、心に浮かんだ映像を映し出す念写など、現在の科学では説明できない超能力者たち。そんな彼らの活躍を描いた創作物には、海を切り裂き山をも砕く超常的な能力で強大な敵と戦うヒーローがいた。

 原作・平井和正氏、作画・石ノ森章太郎氏(当時のペンネームは「いずみ・あすか」)の『幻魔大戦』では、超能力に目覚めた主人公が宇宙規模の敵と戦っている。横山光輝氏の『バビル2世』の主人公・浩一はロデムらを従え、世界を支配しようとするヨミとの壮絶な超能力バトルを展開していた。またギャグ漫画も人気を集め、椎名高志氏の『絶対可憐チルドレン』は強力な超能力を持つ3人の少女を中心としたアクション・コメディであったし、麻生周一氏による『斉木楠雄のΨ難』は主人公が最強の超能力者という作品だった。

 このように超能力を扱った作品は多々あるが、特に1970年~1980年頃には強大な力を持つがゆえ苦悩するエスパーの姿を描いたものが多かった。そこで今回は、生身で宇宙を駆けるほど強力な力を持つ「懐かしの超能力者」3選を振り返ってみたいと思う。

■永遠に生き続ける宿命を背負った緑の髪を持つ少年『超人ロック』

 最初に紹介するのは、限りなく不死に近いエスパーの悲哀を描いた聖悠紀氏のSF大作『超人ロック』。本作は60年近くも前に漫画同人誌で発表されたのが初出で、その後は廃刊となった『少年キング』などを経て今なお連載が続く長寿作品である。

 主人公のロックは、強力な力を持つ伝説のエスパーであるがゆえ、想像を絶する戦いに身を投じ続けなければならない。たとえば、「炎の虎」では街ひとつを消滅させるD弾から義姉を守るためバリアを張るも、おびえた義姉が数千万度の熱風吹き荒れる外へと逃げ出し目の前で燃け死んでしまう。「ロード・レオン」に登場するレオンは幼少期に四肢を切断されたエスパーだが、ロックの力で赤ん坊に戻され人生をやり直させられた。

 また、ロックは緑の髪をした少年の姿であることが多いが、何世紀もの間を生きているため実際の年齢や不明。初登場は美しい歌姫の姿で現れ読者やアイザック指令を驚かせたが、ロックは年齢はおろか性別さえも自在に変えることができた。宇宙空間を生身で飛びまわり、最強と称されてきたエスパーたちの能力を凌駕し、さらには星さえ破壊できるほどの力を持つのだ。

 本作は一時期イメージアルバムなどで『LOCKE THE ZUPERMAN(ロック・ザ・ズーパーマン)』を掲げていたが、これは“SUPERMAN(超人)”より強いという意味の造語であり『超人ロック』が“超人”を越えた存在であることを読者へ伝えようとしていたのである。

 現在は作者である聖氏が病気療養のため休載となっているが、ファンとしては早い復帰を心待ちにしたいと思う。

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