トラブルメーカーでも許される? 『鬼滅の刃』伊之助『ゴールデンカムイ』鯉登『僕のヒーローアカデミア』鉄哲など「猪突猛進キャラ」が愛されるワケの画像
トラブルメーカーでも許される? 『鬼滅の刃』伊之助『ゴールデンカムイ』鯉登『僕のヒーローアカデミア』鉄哲など「猪突猛進キャラ」が愛されるワケの画像

 とにかくまっすぐで一生懸命なキャラクターというのは見ているだけで気持ちがいい。たとえ暴走しがちで、そのせいで周りに迷惑をかけることがあっても、なんだか許せてしまう気がするのだから不思議である。

 今回は人気漫画に登場する、そんな愛すべき「猪突猛進キャラ」を紹介していく。それぞれの憎めなさや、なんともいえない魅力が少しでも伝われば幸いである。

■「猪突猛進」といえばこの男!(『鬼滅の刃』嘴平伊之助)

“猪突猛進”と言えば、やはりこのキャラクターを取り上げずにはいられない。吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』のメインキャラクターの1人である嘴平伊之助だ。

 彼は赤ん坊の頃、山に捨てられ、猪に育てられた文字通りの“野生児”で、猪の皮を頭にかぶっている。しかも「猪突猛進」が口癖という、逆に紹介しないと不自然なくらいの猪突猛進キャラである。

 伊之助は弱肉強食の世界で生きてきたこともあり、戦うことしか頭になく、つねに強い相手を求めていた。そのため戦闘力はずば抜けているが、(人間としての)社会性は皆無に等しい。任務中に勝手な行動をとることも多く、鬼殺隊の同期である炭治郎や善逸が振り回されることもしばしば。まるで常識の通用しない、“獣”のような人物だ。

 そんな傍若無人ではた迷惑ともいえる伊之助だが、どこか憎めなく感じてしまうのは、まっすぐな性格をしているからだろう。細かいことを気にせず、周りに乗せられやすく、強い相手にはシンプルに「すげぇ」と感心してしまう。悪く言えば単純、良くいえば素直なところが、彼の魅力でもあるのだ。

 さらに伊之助は物語が進むごとに、炭次郎たちとのかかわりを通じ、“人間”としてどんどん成長していくことになる。強さだけでなく、優しさも知っていく彼の活躍から目が離せない。

■優秀な軍人のはずなのに暴走しがち…(『ゴールデンカムイ』鯉登音之進)

 野田サトル氏の『ゴールデンカムイ』に登場する鯉登音之進も、直情的で猪突猛進タイプの青年だ。士官学校出身のエリートというだけあって能力は高く、一撃必殺で有名な“自顕流”の使い手でもある。戦闘能力だけでなく頭脳もすぐれているのだが、しょっちゅう暴走しては補佐の月島にたしなめられている。

 鯉登は鶴見中尉を信奉しており、彼が絡むと途端にポンコツになってしまうのも特徴だ。鶴見中尉を前にすると興奮のあまり通訳(おもに月島)なしでは会話できなかったり、自作の鶴見中尉ブロマイドや鶴見中尉メンコを持っていたりするのも、その代表的な例である。尊敬する人のこととなると、猪突猛進ぶりに拍車がかかってしまうのだ。

 また子どもっぽい一面もあり、仕事中に観光を楽しみたくてワガママを言うところや、杉元とくだらないことで張り合うところなどにも現れている。ちなみにアシリパには初めて会ったときからナメられている。

 しかし鯉登は壮絶な金塊争奪戦を経て、冷静さと胆力、そして元来のまっすぐさを兼ね備えた立派な軍人に変貌した。本作で最も大きく成長した男といっても過言ではないくらいである。喜ばしいような、なんとなく寂しいような……つい親のような目線で複雑な感情を抱いてしまう人物だ。

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