■アンパンマンと同じ日に生まれたばいきんまん
『それいけ! アンパンマン』のばいきんまんの過去にも、ちょっと悲しいものがある。実は、アンパンマンとばいきんまんは同じ日に生まれているのだ。
アンパンマンはジャムおじさんが作ったあんパンの種に空から降ってきた「いのちの星」が宿って誕生した。幼少期からそのパワーはすさまじく、当時は飛ぶことすら苦手だったが、それもジャムおじさんらからの愛や応援、「人助けをしたい」という気持ちによって克服。周囲からの大きな愛がアンパンマンを形作ったといえるだろう。
一方のばいきんまんは、同じ日にアンパンマンを倒すという宿命の元に生まれ、バイキン星から卵の状態でやってきた。アンパンマンを倒すという目的のためにずっと研究や発明を続けてきたのだから、育った環境には天と地ほどの差があるだろう。
ちなみにばいきんまんの誕生秘話については絵本『アンパンマン伝説』で語られており、「アンパンマンに何かが足りない」と思い悩んでいたころに悪役の存在が必要だと思い至ったことから生まれたのだという。まさに両者は表裏一体の関係なのだろう。お互いにとってお互いはなくてはならない存在のようにも感じる。
■10月にはドラマも放送、謎多きドロンジョの意外な過去
最後は、『ヤッターマン』に登場するドロンジョ。ドロンボー一味をまとめる謎多き美女だが、彼女の過去にも意外な説がある。
彼女の過去は本編では描かれていないが、第1作放送当時に作られた絵本の中で、少しだけ明るみになったことがある。それによると彼女はお金持ちの家庭に生まれ、有名な女子大学を卒業しているお嬢様。宝石あつめが趣味で世界中を旅行する中、ある日ドクロベーに誘われ泥棒になったと、彼女の若かりし日の絵とともに意外なエピソードが書かれている。ただ、アニメ第1話では既に泥棒になっていたドロンジョのもとに“泥棒の神様”を名乗るドクロベーが急に指令を出すというシーンがあるため、絵本の設定とは矛盾する。アニメ史に残る謎の多い悪役だけあり、あくまでも“説”のひとつだと考えるのが良さそうだ。
2022年10月放送予定のドラマ『タツノコプロ創立60周年記念 WOWOWオリジナルドラマ DORONJO』ではのちにドロンジョと呼ばれる主人公・泥川七音を池田エライザが演じる。この作品は「ドロンジョの壮絶な過去」というコピーも話題に。このドラマで、初めてドロンジョ様の謎のヴェールが明らかになりそうだ。