■味方だったはずなのに…『うしおととら』の兄貴キャラの死
藤田和日郎氏が『週刊少年サンデー』(小学館)で連載していた『うしおととら』にも屈指の人気キャラがまさかの展開を経て死ぬシーンがある。それは主人公・蒼月潮の心強い味方だった秋葉流の死だ。
流は、潮に対していろいろとサポートしてきた人物。潮も彼のことを「流兄ちゃん」と呼び、実の兄のように信頼して慕っているシーンがたくさん描かれている。そんな潮の良き兄貴分である流は、読者からも愛されたキャラだ。
しかし流はそんな潮を裏切り、白面の者の側へと寝返るという衝撃の展開が……。もちろんこれには理由があり、妖怪でも最強クラスのとらを相手に、本気の真剣勝負をしてみたいという彼の望みでもあった。
そして全力を出したとらとの戦いに敗れた秋葉流は、最後は満足した様子で息を引き取る。自分もそうだが、多くの読者も、まさかあの流がとらによって殺されることになるとは想像もしなかったことだろう。
■バキシリーズ屈指の愛されキャラが迎えた「意外すぎる死」
最後は『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で板垣恵介氏が現在も連載中のバキシリーズの『刃牙道』から、多くの読者が予想できなかった烈海王の死を紹介したい。
『グラップラー刃牙』時代の烈海王はプライドが高く、いけ好かない態度をとる嫌なキャラだったが、刃牙との戦いに敗れて一変。以降は刃牙の良き友人であり、面倒見の良い兄貴分として読者からも愛されるキャラになっていく。
「大擂台賽編」では死に至る毒に冒された刃牙を救うために烈海王は奔走し、そのかいあって刃牙は回復。そのとき烈は満面の笑みを浮かべて、むじゃきに「範馬刃牙、復活ッッ」のセリフを連呼し続け、多くのファンを魅了した。
そして現代によみがえった宮本武蔵との戦いが描かれた『刃牙道』の中で、烈海王は武蔵と武器解禁という条件で戦う。この決戦で烈は敗れてしまうのだが、その結末は大観衆が見守る前で腹部を切り裂かれて死亡するという、あまりにも壮絶なものだった……。
これまでバキシリーズでは、悲惨な負け方をするキャラは多数いたが、ダイレクトに死が描かれるケースはほとんどなかった。それだけに主要キャラの中でも屈指の人気者である烈海王が本当に死んでしまったことに動揺したファンは少なくないはずだ。
ストーリー上、あらかじめ悲しい結末が予想できたなら読者としても覚悟できるが、意外な展開を目の当たりにするとどうしても衝撃を受けてしまう。とはいえ、こういうシーンに心を動かされるのもマンガの醍醐味と言えるだろう。あなたにとって“まさかの死”といえば、どんな作品を思い浮かべるだろうか。