■実際の商品が出てくることで世界観がよりリアルに
西尾維新氏によるライトノベルが原作の『〈物語〉シリーズ』では、吸血鬼の忍野忍が大好きな食べ物がある。それが、全国に展開する「ミスタードーナツ」のドーナツだ。忍は主人公の阿良々木暦にミスドの100円セールがあることを神妙に告げどうしてもセールに連れて行けと懇願したり、ショーケースの前に張りつき目を輝かせながらドーナツを賞賛したりと、ミスド愛の大きさをみせた。
特にお気に入りはゴールデンチョコレートのようで、大きく口を開けて幸せそうにほおばっている様子がかわいらしい。数分に渡って描かれたミスドのやりとりは、見ているだけで今すぐミスドに行きたくなってしまう。彼女の宣伝効果はかなりのものだろう。
2011年にフジテレビ系「ノイタミナ」枠で放送され社会現象にもなったアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』では、カントリーマアム、サッポロ一番塩ラーメン、C.C.Lemon、ガリガリ君などのお菓子やジュースが実名で登場する。一部「ポッキー」のかわりに登場する「ロッキー」などもあるが、駄菓子屋に行っていた幼少期を思い出してしまう、ノスタルジックな気持ちになる演出だ。
これらは脚本を担当した岡田麿里氏のこだわりで、脚本の段階から実際の商品名が書かれていたことでひとつひとつ許可どりが行われたという。実際、これらの多くの人が一度は食べたことがある実在の小道具が使われたことで、よりキャラたちに共感しやすくなっているのは間違いないだろう。
また、『コードギアス 反逆のルルーシュ』ではピザチェーン店「ピザハット」が番組スポンサーとなっているため、作中に同店のロゴが登場。C.C.がピザハットのピザを食べるシーンや、同店のマスコットキャラ「チーズ君」のグッズを抱きかかえたりクッションとして使用するシーンもあった。
『コードギアス』の世界観は現実とは異なる歴史を辿った架空の世界が舞台となったSFダークファンタジーであり、我々の生きる世界とは似ているとはいえない。にもかかわらず突然身近な「ピザハット」が登場することで、実在の世界とのリンクが生まれたような不思議な感覚になってしまう。
見つけるとちょっとうれしい、漫画・アニメに登場した実際に買える食べ物たち。大好きなキャラクターと同じものをつい食べたくなってしまうのは筆者だけだろうか。