■馬人間が主人公『ボージャック・ホースマン』

『ボージャック・ホースマン』は2014年から2020年にかけてシーズン1から6が制作され、既に完結している。

 動物が擬人化されたキャラクターと人間が混在する世界が描かれていて、主人公は茶色の馬で、落ちぶれた俳優のボージャック・ホースマン50歳。

 ボージャックは90年代に一世を風靡したシチュエーション・コメディ『馬か騒ぎ』で人気俳優になり、現在はその財産を使いながら自堕落な生活を送っている。そんな中、ボージャックの自伝執筆は全く進まず、しびれを切らした担当編集がゴーストライターのダイアンを手配する。ボージャックの周囲では日常の些細な出来事やさまざまなトラブルが起きて……というのが大筋だ。

 それ以外にもボージャックはミドルエイジ・クライシスに悩みつつアルコール依存症と性依存症に悩んでいたり、処方薬の鎮痛剤依存になったりするなどアメリカの社会問題もつぶさに反映されている。

 ボージャックをはじめとして、競争が激しいハリウッドで消耗していく俳優たちや、ビジネスと芸術のはざまで思い悩むエンタメ業界の裏側も生々しく描写されているのだが、どこかゆるい絵柄のおかげか肩の力を抜いて視聴できる。

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