■女性の涙は疑わない!「ヴァイオレット」を信じ抜いたサンジの心意気

 ドレスローザ編に登場した黒髪の美女「ヴァイオレット」。その正体はドレスローザのリク王の次女“ヴィオラ”だが、訳あってドンキホーテファミリーの幹部になっていた。

 ドレスローザの新王となったドンキホーテ・ドフラミンゴにギロギロの実の能力を気に入られたヴィオラは、父であるリク王の命を助けてもらう代わりに、自分は「ヴァイオレット」と名を変え、やむなくドフラミンゴの手下の殺し屋になる道を選んだ。

 そんなことは知らないサンジは、偶然を装って接近してきたヴァイオレットにメロメロ。まんまと彼女の色仕掛けに引っかかったカタチだが、それでもサンジは「殺してほしい男がいる」と涙を浮かべて懇願したヴァイオレットが「真実を語ってた」と言い、彼女の本心を見抜いた。

 さらにサンジは「おれは女の涙を疑わねェっ!!!!」と絶叫。この言葉に心を動かされたヴァイオレットは、サンジにドフラミンゴ側の情報を教えて逃がす。たとえ彼女が敵だったとしても、女性の涙は疑わないというサンジの信念が伝わってくる力強い言葉だった。

■「プリン」のトラウマを褒め称えたサンジのセリフに感動

 ホールケーキアイランド編に登場した四皇ビッグ・マムの娘の1人「シャーロット・プリン」とサンジのエピソードも切なかった。

 実はジェルマ王国の王族「ヴィンスモーク家」の生まれであるサンジは、ビッグ・マム海賊団と同盟を結ぶための政略結婚を行うことに。そのサンジの婚約者として登場したのがプリンだ。

 しかし、この結婚自体がビッグ・マム海賊団の罠であり、結婚式当日にヴィンスモーク家を皆殺しにする策略が隠されていた。そのことを直前に知ってしまったサンジは、良い子だと信じていたプリンの本性を目撃したことにショックを受け、涙を流す。

 結婚式当日は、プリンが隠していた額にある第3の目を見たサンジが恐れおののくと同時にプリンがサンジを撃ち、それを合図に殺戮ショーが始まる予定。だがプリンの第3の目を見たサンジは「なんて……美しい瞳だ…」と率直に褒め称えたのだった。

 これまでプリンは、この三つ目を「気味が悪い」「怪物」などと言われて散々イジメられてきた過去があり、自身も「忌まわしき第3の目」と呼んでいる。その目を褒めたサンジの言葉に心を動かされたプリンは涙が止まらなくなり、彼を殺すことができなくなった。

 この出来事をきっかけにプリンはサンジと手を組み、彼に本当の恋をして、その後の切ない物語へと続いていく。結婚式で誓いのキスを交わすというドラマチックな場面で飛び出した、一人の少女の気持ちを大きく変えたサンジの言葉はとても尊かった。


 このほかにもサンジが美女を相手にメロメロになる場面は山ほどあるが、単なるギャグシーンで終わらずに読者の心を揺さぶる名場面も意外と多い。最終章では、今回紹介したプリンなどとサンジが対面するシーンがあるのか、そのあたりも気になるところだ。

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