■殺す気で臨むも、あっさり返り討ち……

『バキ』の「神の子激突編」は、偉大なボクサーを父に持つ「マホメド・アライJr.」が範馬刃牙に勝負を挑むというストーリー。刃牙戦に向けて、アライJr.は過酷なトレーニングを敢行することに。

 その方法が実戦に強いとされる格闘家とのストリートファイト。愚地独歩、渋川剛気、ジャック・ハンマーといった強者を相手に、場所や時間など関係なく戦いを挑む。最初のうちは勝利をおさめたが、ジャック・ハンマーに敗れたあと、一度は勝利したはずの独歩や渋川にも連敗。挙げ句の果てには、パンチドランカーである父にまで敗れることになる。

 アライJr.はこれらの敗戦で得た経験を武器に、刃牙との決戦に臨む。敗戦を経て強くなるという展開はバトル漫画の定番ではあるが、板垣恵介氏の作品ではそんな予定調和は成り立たない。

 開幕、いきなりアライJr.のパンチを避けた刃牙のストレートが直撃すると、開始数秒でアライJr.は意識を飛ばしてダウン。そこに刃牙は追撃もせず、アライJr.の回復を待った。

 慌てて飛び起きたアライJr.は「殺ラレズニ殺ル」と、過去の敗戦で得た教訓を口にしながら再び刃牙に立ち向かう。

 しかし、刃牙はそんなアライJr.の金的を容赦なく蹴り上げ、倒れたところで顔面を踏み抜く。さらに失神しているのを確認した上で、刃牙はトドメの裸締めで命まで奪おうとした(父・アライがなんとか阻止したが…)。

 ジャック・ハンマー戦以降、すべての戦いに負け続け、ボロボロの姿になったアライJr.。それを糧に勝利をつかむのかと思いきや、刃牙戦ではさらに手も足も出ない無残な醜態を晒してしまったのだから悲しすぎる。

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