死んだらみんなニュータイプ? ニュータイプとは何者なのか『機動戦士ガンダムNT』が踏み込んだガンダムの聖域の画像
『機動戦士ガンダムNT』blu-ray (C)創通・サンライズ 

 アムロ・レイ、カミーユ・ビダン、シャア・アズナブルなど、『機動戦士ガンダム』宇宙世紀シリーズに登場する“ニュータイプ”と呼ばれるキャラクターたち。額にイナズマのようなパルスが走り、「シャアか!?」と叫ぶアムロの姿を思い出す方は多いだろう。当初は「直感力と洞察力に優れた人々」(『機動戦士ガンダム』レビル将軍)という説明であったが、シリーズを追うごとに次第に人知を超えた能力を発揮しだしている。富野由悠季氏はいくつもの場で、ニュータイプについてエスパーや超能力者を超えた意味性のある存在だと述べているが、漠然とした概念論であることに変わりはない。いったい、ニュータイプとは何者なのか。『機動戦士ガンダムNT』で描かれた衝撃の正体まで、ここで振り返っていきたい。

 まずニュータイプの代表的な能力といえば、レビル将軍が言った直感力、洞察力だろう。第六感的な勘の鋭さで、作中、アムロやカミーユは次々に敵を撃墜していった。いくら最新機体のガンダムに乗っているとはいえ、昨日まで素人だった民間人が歴戦のモビルスーツパイロットを葬っていくのだ。しかもアムロは“赤い彗星”シャア・アズナブルを退けるほどの強さを見せるとあれば、軍のお偉いさんたちがニュータイプを戦場で利用しようと考えだしたのは無理もないだろう。

 そして、思念での会話。これもニュータイプの代表的な能力の1つ。ニュータイプ同士は互いの存在を感知し、テレパシーのような形で会話をすることがある。作中で印象深かったのはやはりアムロとララァ、カミーユとフォウの思念会話だろう。相対する戦場という場で出会ってしまった運命の2人は戦いの中、魂を重ね合わせるように心を通じ合わせる。さらに死の瞬間は極限状態に達するのか、ララァは命散るとき、銀河の奔流世界でアムロと邂逅を果たしている。

 このようにある種神秘的な力を発揮するニュータイプだが、次第に物理的な超常現象まで操るようになる。

 シャアの反乱時、アムロのνガンダムはたった一機で大気圏に落下する小惑星を押し返し、ラプラス紛争では、バナージのユニコーンガンダムは重力に引っ張られる戦艦を引っ張り上げるほどの膂力を発揮した。

 どちらもニュータイプ能力を増幅させるサイコフレーム機でのことであったが、それ以前にはバイオセンサーを積んだカミーユのZガンダム、ジュドーのZZガンダムもビーム兵器の異常出力を見せ、さらには死者の力を借りて敵の動きを封じたり、マシンを遠隔操作するという力まで発揮している。死者の力を借りるとは『ガンダム』がSFからオカルトに移ってしまったかのようだが、2018年公開の映画『機動戦士ガンダムNT』ではさらに衝撃の展開が待っていた。

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