■孤独な九尾の少年を守った熱血先生
岸本斉史氏による忍者アクション漫画『NARUTO-ナルト-』には、写輪眼のカカシや自来也など歴戦の指導者たちが登場した。そんな彼らに引けを取ることなく、主人公・ナルトの人生に大きく関わったのがイルカ先生だった。
うみのイルカはナルトたちが通っていた忍者学校(アカデミー)の講師で、ナルトのいたずらに日々頭を悩ませながらも、一楽でラーメンをおごるなど何かにつけて気にかけていた。イルカの階級は中忍であったが、上忍のカカシに対して「ナルトはアナタとは違う!」と食ってかかるほど生徒思いな熱血教師だ。
そんなイルカとナルトの“絆”は第1話から詳細に描かれている。両親を亡くし天涯孤独となったナルトだが、その身に九尾を宿していたため里の人々から忌み嫌われていた。さらに、卒業試験の課題であった「分身の術」すらまともにできないうえ、イルカからは厳しい言葉をもらってしまう。
落ち込むナルトを講師のミズキが罠にはめるが、すんでのところでイルカが自らを盾とし攻撃から守ってくれた。
「そうだよなぁ…ナルト…さみしかったんだよなぁ…苦しかったんだよなぁ…」
イルカが自分を認めていたことを知ったナルトは、高等忍術「影分身」でミズキを倒すことに成功する。九尾に両親を殺され天涯孤独なイルカだからこそ、ナルトを理解し寄り添うことができたのだ。
テレビアニメ最終回「木ノ葉秘伝 祝言日和『祝いの言葉』」では、ナルトに結婚式での祝辞を頼まれたイルカが頭を悩ませるのだが、二人の歩みを思い返せば晴れ舞台にふさわしいエピソードだった。孤独だったナルトを最初に認め、見守り続けた大きな存在こそが“イルカ先生”なのだから。