2022年7月で連載開始から25年を迎える、尾田栄一郎氏による人気マンガ『ONEPIECE(ワンピース)』。現在『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている「ワノ国編」の途中、作者の尾田氏は「最終回を視野に入れた展開がもう始まっています!」というメッセージを発表。物語は着実にクライマックスに向かっている様子だ。
このタイミングで過去のストーリーを振り返る人も多いようで、本サイトが行った「ワンピースで一番好きなエピソード」のアンケートにもさまざまな反響が寄せられていた。そこで今回は『ワンピース』を読み返した上で、「実はかなり重要だったのでは……?」と個人的に感じたエピソードについてご紹介したい。
※以下の内容は、コミック『ワンピース』のストーリーのネタバレ要素を含んでいます。漫画未読の方、気になる方はご注意ください。
■空島編
人気のアラバスタ編の盛り上がりと比べてしまうと、その後に続く空島編は少し落ち着いた印象を受けるかもしれない。もちろん、最強キャラ候補の一人として語り継がれるエネルの存在や、モンブラン・ノーランドの過去エピソード&鐘を鳴らすシーンなど、魅力的な場面は十二分にあるのだが、当時は多少の物足りなさを感じたのはおそらく私だけではないだろう。
だが、あらためて読み返すと、この空島編には今後の冒険にかかわる重要な情報や期待感を煽るシーンが描かれていたことが分かる。その筆頭が、ルフィたちが空島を立ち去る前に登場した「歴史の本文(ポーネグリフ)」のシーンだ。
このとき古代文字で記された歴史碑文「ポーネグリフ」が、海賊王“ゴール・D・ロジャー”とも深い関わりがあることが判明。その古代文字を解読できるニコ・ロビンは、今まで知りえたポーネグリフの内容を、グランドラインの最終地点「ラフテル」まで導かねばならないという使命に気づく場面があった。言うまでもなくラフテルとは、ルフィが目指す最終目的地だ。
この出来事は、アラバスタの地下祭殿でロビンが言った「探し続けてこれ以上のポーネグリフの情報はない」「そして……ハズレ」という諦めの言葉に対する大きな救いであり、一つの答えとも言えた。
また空島編に登場するエネルや神官などが使っていた「心綱(マントラ)」は、今現在『ワンピース』の戦闘で重要視されている「覇気」の一種だとレイリーが語るシーンがコミックス61巻にあり、62巻のSBSでは作者の尾田氏もそれが事実だと認めている。
さらに、ずっと連載を追っている方であれば、解放のドラムの「ドンドットット」という独特の擬音が、空島編での勝利の宴のシーンですでに描かれていたことに気づいた人もいるかもしれない。このようにかなり先で明らかになる要素が、比較的序盤の空島編で描かれていたことも、実は重要なエピソードだと感じた一因でもある。