■三橋・伊藤と同格の新キャラクターが初登場した京都旅行
同じく90年代に『週刊少年サンデー』で連載されていたのは、近年ドラマも大ヒットを記録した西森博之氏によるヤンキーギャグ漫画『今日から俺は!!』。こちらも『ろくでなし』と同様にコミックス8巻から修学旅行編が描かれた。
千葉で有名な2人組の三橋と伊藤は、トレードマークである金髪とトゲトゲ頭を封印して京都への修学旅行に参加する。三橋・伊藤だけではなく、ライバル(?)の今井や伊藤の恋人・京子など他校メンバーまで修学旅行で京都に行く。メインキャラがほぼ集結するのは、なかなかおもしろい展開だった。
しかし、この修学旅行編で欠かせないのがドラマ版ではついに姿を見せなかった中野誠が初登場したことだろう。原作ではその後、今井と同じ赤羽高校に転校し、開久高校との戦いで大活躍をする中野だが、このときはまだ茨城県に住む高校生だった。それがたまたま同じ日に京都へ修学旅行へ来ており、三橋&今井と揉めごとを起こした。
中野はケンカがとてつもなく強く、度胸も据わっている。ナイフでの攻撃を平然とした顔を手で手で受け止めるほど。そのうえ根暗で卑怯。同作において「卑怯」は三橋の代名詞だが、その三橋を騙し討ちするほどで、これによって三橋は中野に一度、敗北してしまっていた。
のちの超重要人物でファンも多い中野が初登場した『今日俺』の修学旅行編。そのほかにも、駅のホームで今井を逆方向に乗せてしまうギャグパートがあったり、伊藤と京子のデート回があったりと盛りだくさんな内容だった。
『疾風伝説 特攻の拓』や『クローズ』のように、とても旅行になど行ってられないシリアスなヤンキー漫画がある一方で、『カメレオン』や『湘南爆走族』などなど旅行先でのケンカが描かれるのはかつてのヤンキー漫画あるあるのひとつ。これを機に、懐かしのヤンキー漫画を読み直しても手はいかがだろうか。