1986年から『週刊少年ジャンプ』でシリーズが開始され、2021年9月には最新作『ジョジョリオン』が完結を迎えた荒木飛呂彦氏による漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。唯一無二のアーティスティックな世界観が魅力で、他の漫画では使われないような擬音や、キャラクターたちの独特なセリフ回しもまた同作の特徴だ。
主要人物たちの名ゼリフは言わずもがな、わずか数話で退場してしまうような敵キャラクターたちも、その少ない登場シーンの中で忘れがたいインパクトのあるセリフを残してきた。
そこで今回はスタンド能力が初めて登場した、空条承太郎を主人公とした第3部「スターダストクルセイダース」の中から「つい声に出してマネしたくなる」敵キャラクターのセリフをいくつか紹介したい。
■第3部の中でも大人気!『ジョジョ』初のメタ発言
まずは、スタンド「ホウィール・オブ・フォーチュン」を操るズィー・ズィーのセリフから。彼は自動車を変形させて操る能力を駆使して承太郎たちを追い詰めた。
勝利を確信した際には車から筋骨隆々の腕を出して指差しポーズで「勝ったッ! 第3部完!」と高らかに叫んでみせたズィー・ズィー。『ジョジョ』の世界が創作であることをキャラクター本人たちが語る、いわゆるメタ発言だ。また承太郎はこれに対し「だれがこの空条承太郎のかわりをつとめるんだ?」と返していることから、承太郎自身も自分が主人公であることを知っているようなセリフとなっていた。
『ジョジョ』ではこのほかにはメタ発言は登場しないので、これはかなり珍しいシーンだといえるだろう。なお油断し切ったズィー・ズィーはこの後承太郎たちにパスポートや車を奪われ、身体を岩に縛りつけられたまま放置されることとなる。
■有名な「レロレロ」だけじゃないラバーソール
エンヤ婆が送り込んだ刺客の一人で、見た目を自由自在に変えることができるスタンド能力「イエローテンパランス」で花京院に成り代わっていたラバーソール。執拗にさくらんぼを「レロレロ」するシーンは『ジョジョ』ファンならずとも知っている人の多い有名なシーンだ。彼は自身の正体を明かし「これがおれの本体のハンサム顔だ」とドヤ顔をするクセの強いキャラクターだった。
忘れられないセリフは、イエローテンパランスには弱点がないことを語り、それでもなおも足掻こうとする承太郎に対して言い放った勢い全開の「ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!」という煽り文句。これは英語で「理解したか?」という意味だが、能力の「スタンド」ともかかっているような粋なセリフだ。彼については、そのひきょうな性格と奇行に走る花京院の変装シーンが目立つためか、本体のラバーソールのイメージはあまり強くないのが惜しいところだ。