■「パパオ」「パオパオ」「ヒイヒィィン」に「ドジャアア~~ン」

 コミックスも終盤に近くなった24巻。ここでは宇佐美時重と切り裂きジャックの対決シーンが描かれている。ここで描かれたのが、第1部で呼吸法を使うウィル・A・ツェペリが、ジョナサンに波紋カッターを見せたシーンのオマージュ。ツェペリが口に入れたワインに波紋を混ぜてブーメラン状に攻撃する技で「パパウパウパウ フヒィーン」という独特すぎる擬音が書き込まれた、一度見たら忘れられない名シーンだ。

 宇佐美たちは自身の体液を使って戦うのだが、このときの擬音が「パパオ」「パオパオ」「ヒイヒィィン」と“いかにも”なシーンになっている。自身の「弾」の飛ばし方も『ジョジョ』そっくりだ。そして、宇佐美とツェペリ、どちらも戦う相手が切り裂きジャック(ジャック・ザ・リパー)であるところにも、野田氏の粋な計らいが感じられる。

 また擬音で言えば、9巻の牛山と熊との戦いのシーンも『ジョジョ』ネタの可能性が高い。ここでは牛山が巨大熊を柔道技で投げ飛ばして追い払っているが、このときの決め台詞のバックにさりげなく書かれていた擬音が「ドジャアア~~ン」という『ジョジョ』のファニー・ヴァレンタイン大統領の謎の口癖と同じものなのだ。確実とは言えないが、細かい部分でパロディを散りばめてくる『ゴールデンカムイ』。あらゆるコマを見ては、これはひょっとして……とつい元ネタを探したくなってしまうのだ。

 そうしたコマを見つけるたびうれしい気持ちになるが、果たして実写化の際に再現可能なのかが気になるところだ。

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