■待望のアニメ化で家族を演じる実力派声優3人
特に1話から際立ったキャラで、ツイッターで「かわいい」という反応を集めていたのが娘のアーニャ。実験体として超能力を身につけさせられ、孤児院を転々として生きてきた推定4、5歳の女の子だ。人の心を読むことができるが天真爛漫で、「ちち」「はは」の心を読み取っては非日常の世界にドキドキしているというキャラクターである。
今回、彼女の声を担当するのが声優の種崎敦美(「崎」は「たつさき」)。種崎といえば、最近では『その着せ替え人形は恋をする』でジュジュこと乾紗寿叶役を務め、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』で双葉理央役を担当。繊細な美少女役を務めたと思えば、『フルーツバスケット』ではヤンキー高校生の“うおちゃん”を演じ、『鬼滅の刃 遊郭編』の宇髄天元の妻・雛鶴など大人の女性の役も見事に演じる。また少年役もこなし、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』ではエンポリオ・アルニーニョ役に、現在放送中の『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』では主人公・ダイとして必殺技を叫んでいる。
これだけでもすさまじい役柄の広さだが、それが今回舌ったらずな口調が特徴の幼児・アーニャ役を難なくこなしているのだ。これらのキャラクターたちを同じ人物が務めていると気づかなかった視聴者も多いのではないだろうか。
1話から「わくわくっ!」と目を輝かせたと思えば、人混みに流されて助けを求めたり、大粒の涙を流して文字には書き表せないような泣き方をしたりとコロコロと感情を変えまくったアーニャ。4月30日放送の4話以降からは、本格的に小学校入学のエピソードが描かれるので種崎演じるアーニャファンがますます増えていくだろう。
また、父と母を演じるロイドとヨルももちろん見逃せない。母のヨルは持ち前の天然さで不思議な行動を取ることもあるが、失敗も含めてかわいらしい。彼女の声を務めるのは『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶや、5月13日の『金曜ロードショー』で放送となる『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンの吹き替えを担当する早見沙織。しっとりと美しいが、その奥に怖さを秘めているヨル役にぴったりだろう。
そしてその夫・ロイド役を務める江口拓也は心地よい低音ボイスの持ち主で、イケメンな父にこれ以上ないほどハマっている。ただ今後のエピソードではそれまでの無機質さから変わって、家族2人のボケを前にツッコミ役にまわる場面も増えていきそう。そのときの江口の戸惑った演技も楽しみだ。
スパイアニメとしての緊迫感と、家族アニメとしての日常感がミックスされた「非日常的な日常アニメ」である『SPY×FAMILY』。土曜23時という比較的早い時間の放送のため、家族で視聴するのにもおすすめの作品だ。