■唯一の肉親、兄としてのラディッツの情?
悟空と対面したときにラディッツの口から出てきたのは、惑星ベジータが巨大隕石の衝突で爆発したという情報だ(実際はフリーザによって破壊されたのだが)。ほぼすべてのサイヤ人が死に、二人にとっての両親も死んだことを悟空の前で明かしている。
悟空とほかのサイヤ人の圧倒的な戦力差が分かっていながら、それでもラディッツは弟を仲間にしようと執拗な勧誘を続けた。そういった背景を考慮すると、単に生存している同胞を探しにきたというよりは、「生き別れの弟を迎えに来た兄」という執着のようなものをうっすら感じたのは私だけだろうか……。
■サイヤ人の中でキャラカブり発生?
結果的に、悟空たちとの地球での激闘、ナメック星でのフリーザとの死闘を経て、サイヤ人一派の中で生き返ったのはベジータだけだったというのが事実。しかし、運命の歯車次第では、ラディッツが生存したり、復活する可能性だってありえたはずだ(実際ゲームには、そうしたIfストーリーが描かれるものもあった)。
あと、これはメタな部分の話にはなるが、サイヤ人の中でも落ちこぼれというラディッツの境遇は悟空とどうしてもカブる部分があるし、なによりM字型の生え際はベジータとビジュアル面でカブっている。まさかこれがラディッツ退場の原因ではないと思うが……。
それはさておき、ラディッツが作中で行った行為を振り返ってみると、ベジータと比較して飛び抜けて悪人というほどではないはず。立場や実力、性格を考えたら、どちらかと言うとベジータの残虐性のほうが目に余る。そんなベジータが赦され、悟空と共闘したり、一緒に修行したりする仲になったのに、肉親のラディッツを回顧するような描写はなく、影が薄いのはあまりにも寂しい。
それに改心したラディッツが、孫悟飯に「伯父さん」と呼ばれる未来があったのなら、ちょっとだけ見たかった気もする。