東映アニメーションで発生した第三者によるネットワークへの不正アクセスの影響で、公開が延期になっていた映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』。その新公開日が、2022年6月11日に決定したことが発表された。
同映画の予告編には当たり前のようにベジータの姿があったが、かつてのベジータは地球人を全滅させると息巻いていた悪役の筆頭。そして鳥山明氏による漫画では、そのベジータの仲間であり、いち早く地球にやってきたのが孫悟空の実の兄・ラディッツである。
悟空&ピッコロとの戦いで命を落としたサイヤ人のラディッツは、地球サイドから見ればベジータ同様の悪人に違いない(ついでにナッパも)。しかしその後改心して赦され、『ドラゴンボール』のかけがえのない人気キャラにのし上がったベジータと、本質的にそこまで違いがあったとも思えない。
そこで今回は、作中でいつの間にか忘れ去られてしまったラディッツというキャラクターについて、少し振り返ってみたいと思う。
■悟空を迎えに来た理由に疑問符
ある日、突然地球にやって来たラディッツは、赤子の頃に地球に送りこまれたカカロット(悟空)を仲間にするために地球に来たと語ったが、あらためてその理由を見てみると少々違和感を覚える。
ラディッツが言うには、ある星を攻めるのに「3人(ベジータ、ナッパ、ラディッツ)ではちょっと苦戦しそうなんだ……」「まだ戦闘力が完全ではないが(悟空が)3人に加わってくれればなんとかなる…」と、地球に来た理由を説明。
だが、この時点での悟空の戦闘力は300程度(重い道着を脱いで400程度に上昇し、かめはめ波を使用したときに1000程度まで上昇するが、このときのラディッツは知らない)。戦闘力1万を余裕で超えるベジータの助っ人になれるほどの戦力とは到底思えない。
便利な小間使いとしての人員が必要なら、はるばる地球まで来なくても普通の戦闘員で十分だし、このときの悟空程度の戦闘力が必要なら、それこそサイバイマンだっていい。
それにサイヤ人特有の大猿に変身できる能力を期待していたのなら、悟空がシッポを失っていることに気づいた段階でラディッツは諦めるか、真の悪人ならそんな弱い弟は不要と即座に抹殺しようとするほうが自然ではないだろうか。