■ヒーローもの要素がある「応援したくなる」ヤンキー漫画

 ヤンキー漫画といえば、『ろくでなしBLUES』や『今日から俺は!!』などのケンカを通じて友情を深めていくストーリーが王道だった。しかし『ウィンブレ』は不良たちが“街を守るため”に喧嘩をするという、さながらヒーローもののようなストーリー展開で、読みながらつい「頑張れ!」と応援したくなってしまう要素がある。主人公が周りの人のぬくもりに触れて成長していく王道バトル漫画のような展開が楽しめる。

 また近年大ヒットした『東リベ』と同じく、登場人物たちがイケメンそろいであることも女性人気が高い理由だろうか。にい氏の描く美麗なキャラクターたちはそれぞれかなり個性的だ。

 今まで一人で生きてきたがゆえに、人の優しさに慣れておらずコミュニケーションに不器用さを持つ主人公の桜はまるで、母性本能をくすぐるネコのよう。また2話から登場する、ケンカは強くはないものの誰にも負けない正義感を持ち、のちに桜の良き仲間となる楡井秋彦(にれいあきひこ)や、心の豊さと強さをもち、理想のリーダーとして描かれている風鈴高校のてっぺんに君臨する梅宮一(うめみやはじめ)など個性豊かな面々がそろう。このほかの同級生たちもそれぞれ桜とは違う魅力があり、今後描かれていくだろう彼らのバックグランドに期待が高まる。

 ヤンキー漫画なのでケンカシーンは必然的に多くなるが、作画はいかにもな暴力シーンというよりは「臨場感のある圧倒的な画力」というほうがしっくりくる。また登場人物同士の心の触れ合いを感じる作画にはつい見とれてしまう。

 現在公式ツイッターでは渋谷ジャック企画で放送された動画や季節ごとのイベント動画を見ることができ、動画では桜遥役に『呪術廻戦』の伏黒恵役などで知られる内田雄馬、梅宮一役に『ジョジョの奇妙な冒険』のブローノ・ブチャラティ役などの中村悠一、ほかにも内山昂輝島崎信長など人気声優がキャラクターに声をあてている。

 動画を見るだけで漫画だけでは分からなかった感情の動きが分かりやすく伝わってきて、ワクワクしてくる仕上がりだ。若い女子に人気の実力派声優ばかりを集めたキャストのチョイスも、アニメ化を期待する声に拍車をかけている。ぜひアニメ化する際は「キャスト続投」でお願いしたい。

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