■盾の形状をしたウェポンラック?

 まずギャンについて、作中でマ・クベは「ギャンは私用に開発して戴いたモビルスーツだ」と語っている。その発言から察するに、おそらくはマ・クベの意向を取り入れるカタチで開発が進められた機体と考えられる。

 ギャンの武装は、刺突に適したビーム・サーベルとシールドのみというシンプルさで、明らかに近接戦闘に特化。それにパイロットとしてのマ・クベの実力はかなりのもので、アムロとの攻防を見ていたシャアも「マ・クベめ、よくやる……」と感心したほどである。

 対ガンダムを意識して開発されたのも間違いなく、テレビアニメ第37話『テキサスの攻防』の中では盾から発射するニードル・ミサイルやハイドボンブで遠距離から牽制。マ・クベお得意の設置型ブービートラップなども交えながら、巧みにアムロのガンダムを誘導。ギャンの真価を発揮できる白兵戦へと導いていた。

 ビーム・ライフルを持たないギャンだけに、ニードル・ミサイルやハイドボンブのような飛び道具は必要不可欠だったのかもしれない。それではあの専用シールドは盾としての防御機能を持たない、ある意味ウェポンラックのような役割だったのだろうか。

■ギャンシールドは盾としてもしっかり機能

 しかし『テキサスの攻防』の中で、ギャンの盾でガンダムのビーム・サーベルを防ぐシーンがある。そのとき円形の盾は大きく切り裂かれたが、ミサイルや機雷の誘爆は起こっていない。「そういう頑丈な構造」「爆発しない材質だった」などと言ってしまえばそれまでだが、マ・クベの一連の戦い方を紐解くと別の見方もできそうだ。

 マ・クベは「私なりの戦い方があるからこそ、ガンダムを引きこんだのだ」と、暗に策があることを横槍を入れてきたシャアに明かしている。

 ガンダムとの戦いを振り返ると、サーベル同士で斬り結ぶ距離に至るまでの前段階で、ギャンはニードル・ミサイルとハイドボンブを発射した。盾の構造上、そこまで大量の弾薬を搭載できるとは考えにくく、頭脳派のマ・クベであれば白兵戦に至る前にきっちり使い切るよう計算していたとしても不思議はない。

 ミサイルや機雷を使い切って誘爆の恐れがなくなり、機体がもっとも身軽になったときに満を持してガンダムとの白兵戦を始めたのであれば、すべてはマ・クベの想定した通りに事は運んだことになる。

 となると、ニュータイプとして覚醒しつつあるアムロが、接近戦を得意とするマ・クベとギャンのパフォーマンスを上回ったことだけが彼にとって唯一の誤算だったのかもしれない……。

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