■スキル2:「ほっ」と言いながらのフェイク

 インターハイ出場枠を決める県大会決勝リーグの一戦目「湘北vs海南大附属」。NO.1ルーキー清田を相手に花道が仕かけて成功したフェイクが、「ほっ」と言いながらゴールを見て、即シュートをするように見せかけたもの。清田がシュートを防ごうと手を伸ばした隙に花道はドリブルで抜き去り、レイアップシュートを決めた。

 これはポイントガード宮城リョータ直伝の技。バスケットの試合ではよく見られるプレイなのだが、この花道のフェイクはこの試合の大一番の場面や、陵南戦などでも発揮される。

「ボールを持ったらゴールを見ろ」は、どこのバスケ部でも言われること。基本はやはり大事だと思わせるシーンである。この「ほっ」のフェイクは、実戦でも大いに活用できるのだ。

 それにしても花道が「ほっ」と言って上を見上げ、清田を抜き去った瞬間のコマは、なぜか時が止まって見える。これは、井上雄彦氏の素晴らしい画力の賜物であろう。

■スキル3:両手で下から放るフリースロー

 もうひとつ「湘北vs海南大附属」の試合から。この試合で花道が突如発案したのが、「下から放り投げるフリースロー」。

 そもそも、フリースローというのは、選手がファウルを取られた時に相手チームに与えられる得点のチャンスのこと。ファウルの種類にもよるが、1点から3点を得点できる機会である。誰にも防御されることなくシュートできるものの、試合時間を止め、しんとした中で一人シュートを打つプレッシャーは、サッカーのPKのように大きな緊張感がある。

 話を戻すが、時は試合後半の残り5分。海南大附属主将の牧に、インテンショナルファウルを取られた花道。このフリースローが勝敗の行方にかかわるくらいの大事な局面だったが、花道は初心者なので普通のシュートフォームでボールを放っても、ゴールにはかすりもしない。

 窮地に立たされた花道が考え抜いた結果、両手で下から放り投げるシュートをして2本を成功させた。初心者だからこその荒技のように見えるが、実はこれ、NBAの名シューターが実際に試合で行っていたシュートフォームらしい。フリースローが苦手だと悩むバスケットマンがいたら、ぜひ活かしてみてはいかがだろうか。

『SLAM DUNK』は2022年秋、25年の時を経て映画化される。これを機に、あの頃のような空前のバスケットブームが再来するかもしれない。そのときは、ぜひ今回の記事でお伝えした技を試して、花道ばりの活躍へとつなげてほしい。

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