■アルセウスへの不満も折り込み済みだったのでは!? と思わせる発表

 最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」は、子どもから大人まで楽しめる「オープンワールド」のタイトルになると発表されました。

 実は『アルセウス』の発表の際、開発段階でオープンワールドだと表記されていることがあったために、ポケモン公式で「オープンワールドではない」と明言されるということがありました。

 そこでガッカリした人もいるでしょう。広い世界をどこまでも走り回って、自由に探索できるオープンワールドゲームがすでにSwitchでいくつも登場しているのに、2022年発売のタイトルでなぜできないのか、という不満を持った人もいるかと思います。

 それが今回、最新作でついにオープンワールドのポケモンが楽しめるのです。つまり、アルセウスは「これまでのポケモンと新たなポケモンの橋渡し」のような存在で、アルセウスで楽しいと感じた人に向けて、「次のポケモン、オープンワールドですよ……?」と期待感を持たせる役割を担っていたのではないでしょうか。

 オープンワールドになると、途端に「何をしていいのか分からない」「自由すぎて楽しめない」という人もいます。一概にオープンワールドがすべて正解というわけではありませんし、これまできちんと道筋を描いて楽しみやすい導線を作ってきたポケモンで、自由度を高めすぎてしまうと、子どもたちが楽しめないつくりになってしまっていたのではないでしょうか。

 その懸念があったがために、アルセウスではアクションRPGで世界を駆け回ることを売りにしながら、オープンワールドほどの自由度をあえて排除してリリース下のではないかと思うのです。

 その結果、多くの人がこのアルセウスの世界観に楽しみを見出しました。そして、このアルセウスを挟んだことで最新作の「オープンワールドのポケモン」が受け入れやすくなったのだと思うのです。

 アルセウスは確かに、時代の最先端をいくゲームデザインではなかったかもしれませんし、その姿が「ポケモンというブランドにあぐらをかいている」という海外メディアのレビューで批判されているのも目にしました。

 しかし、それすらも「折り込み済み」で、この最新作の『スカーレット・バイオレット』のための試金石だったのではないかと思わせる発表でした。
 子どもも大人も楽しめるオープンワールド、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のような楽しさをポケモンで体験できるのかもしれない、そう考えるだけで最新作が待ち遠しくなります。

 そう思わせてくれるのはやはり、アルセウスが面白かったからに違いありません。

 みなさんはアルセウスをプレイしてどんな感想を抱いたでしょうか? 肯定的な意見も否定的な意見もある作品だと思いますが、これもすべて最新作の構成を作っていたポケモン側からすれば「折り込み済み」だったのではと思わせる、末恐ろしさがありました。さすが世界を代表するモンスタータイトルは、見据えている次元がちがうぜ……!

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