■『ジョジョ』5部放送中にあった『Dr.STONE』のオマージュ

 次は、独自の世界観とアーティスティックな絵柄が魅力で、芸能界にも多くのファンを持つ荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』をオマージュしたと思われる人気作品を紹介しよう。

『ジョジョ』はその影響力の高さゆえ、セリフやポージングなどを多くの漫画にオマージュされているが、3月7日発売の『週刊少年ジャンプ』で最終回を迎えた『Dr.STONE』(原作:稲垣理一郎氏、作画:Boichi氏)にも『ジョジョ』5部「黄金の風」のオマージュシーンが登場する。

『ジョジョ』では、ブチャラティが組織に反逆することを決意し、自分についてくる者だけボートに乗るように告げたシーンの後。ナランチャが自分で決められずに迷っている間にボートは出発してしまうが、その後やっぱりついていくと決意しボートに向かって必死に川を泳ぎ「オレも行くッ! 行くんだよォ―ッ!!」と叫ぶという、心にグッとくる演出となっている。

『Dr.STONE』12巻では、選ばれた人が新しく完成した船に乗り込み、地球の裏側の宝島を目指すこととなる。そこで、一度は行くのを断ったヘタレキャラの銀狼が、ナランチャ同様出発した船に向かって泣いて必死に泳ぎながら「僕も一緒に行くよぅ 行くんだよぉー!!!」と、構図までそっくりな『ジョジョ』オマージュと思われるシーンが描かれた。

 しかし銀狼の場合は、この健気な行動も純粋な気持ちからではなく、残った村人たちに一目置かれるための卑怯な作戦。船側からは銀狼が追っていることに気づかれまいと踏んで、ある程度泳いだポーズをとって村に戻るつもりだったようだ(なお、結局銀狼は船に引き上げられ船旅に出ることとなる)。

 連載当時の2019年は、まさにアニメで『ジョジョ』5部が放送されていた時期。それを考えるとおそらくこれは意識的なオマージュであり、両作品のファンにとっては思わずニヤリとするシーンとなったに違いない。

 このほかにも、『ジャンプ』の漫画には意外と過去の作品をオマージュしたシーンが多く存在する。自分で見つけられたら、楽しさも2倍かも?

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