『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『ONE PIECE』『NARUTO-ナルト-』など、これまで数多くのヒット作を生み出してきた『週刊少年ジャンプ』。1968年から54年の歴史の中で、第一線で活躍する漫画家たちにも多くの影響を与えてきた。
そんな『ジャンプ』連載作の中には、過去の名作漫画の1シーンをオマージュしたと思われるシーンがたびたびあり、元ネタを見つけた作品ファンの間で話題を集めることがある。そこで今回は『ジャンプ』で描かれた、別漫画の愛あるオマージュシーンを紹介したい。なお『太臓もて王サーガ』『僕とロボコ』などのギャグ漫画ではパロディシーンが多く登場するが、今回はギャグ漫画は除いて紹介したい。
■「テメェを殺す男の名前だァ」
まずは、テレビアニメ「遊郭編」が好評のままに放送終了した、吾峠呼世晴氏による『鬼滅の刃』から。「遊郭編」最終回放送後にアニメ化決定が発表された「刀鍛冶の里編」では、上弦の肆・半天狗と上弦の伍・玉壺が刀鍛冶の里に侵入し、柱の甘露寺蜜璃と時透無一郎、竈門炭治郎、そして炭治郎の同期の剣士である不死川玄弥が迎え撃つ。
コミックス13巻では、半天狗がなかなか死なない玄弥をいぶかしみながら「一体何なのだお前は…」と問うシーンがある。すると玄弥は「俺の名前は不死川玄弥 しっかり覚えろよ」「テメェを殺す男の名前だァ」とたんかをきるのだ。
もともとは元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが試合中に「俺の名前を言ってみろ!」と叫んだ言葉が有名となり、ジャンプ漫画では『北斗の拳』のジャギや『スラムダンク』の三井寿といったキャラが「俺の名を言ってみろ」と相手に凄んできた。最近では『僕のヒーローアカデミア』でも「インゲニウム おまえを倒すヒーローの名だ!!」というセリフがあったが、久保帯人氏の漫画『BLEACH』にも類似のセリフがある。
『BLEACH』23巻の破面篇で、現世に派遣された十一番隊の斑目一角がエドラド・リオネスと交戦。斑目は敵に自分の名前を名乗り「俺の名だけをよく憶えときな」「てめえを殺す男の名だ」と鋭い眼光で敵をにらみつける。斑目のかっこいい名乗りが印象的な名シーンだ。
自己紹介から続く似たセリフだけでなく、必ず敵を倒すという意志の宿った瞳のアップ、そしてひたいから血を流しているところまでそっくりなこのシーン。吾峠氏自身も「このマンガがすごい! 2019」(宝島社)に掲載されたインタビューで『BLEACH』は影響を受けた作品の一つだと公言していることから、同作のオマージュではないかという指摘が多い。