■首吊り学園殺人事件

「首吊り学園殺人事件」は、首吊りが多発する有名予備校を舞台に描かれたエピソード。ある生徒が学園内で首を吊って亡くなったのをきっかけに、不良生徒たちによる首吊り死体が次々と発見されるという奇怪な事件が発生。講習に参加していた金田一も、この騒動に巻きこまれることになる。

 容疑者にされた予備校講師の女性は、実は最初に首を吊った生徒とは、禁断の恋人同士の関係。男の子の自殺は受験ノイローゼが原因と片づけられたが、講師の女性は彼が不良たちによって殺された事実を知ってしまう。

 これで復讐を決意した女性講師は、巧妙なトリックを用いて連続首吊り殺人を敢行。かかわった不良たちを殺害したのちに逮捕された。これで生きていく理由が無くなったと言う女性講師は、拘置所で自殺未遂を繰り返すが、金田一は恋人だった彼が生前に描いた1枚の絵に隠された真実を知り、届ける。

 その裸婦が描かれた油絵の表面を軽く削ると、水彩絵の具で描かれた部分だけが剥がれ、その下から出てきたのは心安らかな表情をした女性講師の姿。金田一はこの絵を見せながら、優しい人であり続けてほしいと彼が願っていたであろうことを説き、死ではなく別の答えを見つけることを提案した。

 なんともやるせない気持ちにさせられた一連の事件。最後に「ありがとう金田一君」と告げた女性講師の涙だけが、唯一の救いに感じられた。

 

 2022年4月から始まる新テレビドラマ『金田一少年の事件簿』では、どんなエピソードが実写化されるのか、放送を楽しみに待ちたい。

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