2001年から2007年にかけて『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された、橋口たかし氏によるグルメ漫画『焼きたて!!ジャぱん』。同作はパンの発酵に最適な温かい手である通称・太陽の手を持つ東和馬が、日本の米を凌駕するほど美味しい“ジャぱん”を作るためにプロのパン職人として成長していく物語だ。
正統派グルメ漫画としてスタートした『焼きたて!!ジャぱん』。物語ではその後、東が大手ベーカリーチェーン「パンタジア」に就職したことをきっかけに、店の威信をかけて、他店やライバルチェーン店とパンの大会で激しく争っていくことになる。パンを食べた審査員のリアクションが激しすぎるあまり、グルメ漫画にとどまらず、ギャグ漫画的な要素も人気となり、2004年にはテレビアニメ化を果たした。
そんな同作の見どころといえば、やはり個性豊かな「パン」のメニュー。クッキー生地とパン生地を絶妙な温度で焼き上げ、その間にメロン味のクリームをふんだんに絞った「メロン寿司パン」や、筒状にしたパンワッフル生地の中に完熟マンゴーを詰めた「埴輪ジャぱん」など、斬新なメニューの数々はとても魅力的で、いつか食べてみたいといまだに夢見ている方も多いことだろう。作中に登場する大半の「パン」は連載終了から15年たった今でもフィクションのままだが、実は一部の「パン」が今では当たり前のように私たちの食生活に広まっていることをご存知だろうか?
■納豆と味噌汁にも合う!? 豆乳トースト
まずは『焼きたて!!ジャぱん』の記念すべき第1話に登場する「豆乳トースト」。
ひょんなことからパンに魅了された幼き頃の東少年は、生粋の米派である祖父にパンの美味しさを認めさせるべく、初めて自らの手でパンを作ることになる。祖父が提示した条件は「納豆と味噌汁に合うパン」というもの。ごはんのように、納豆を乗せて食べても美味しい食パンをつくるというこの難題をクリアするため、東少年は近所のパン屋のオーナーとともに日夜製作に励むという展開だった。
そして出来上がったのが「豆乳トースト」。納豆と味噌汁が大豆でできていることから、牛乳の代わりに豆乳を使用したユニークな一品だが、今ではこの「豆乳トースト」という存在はすっかり市民権を得て、一部のお店で購入できるのはもちろん、自宅で作りたい人向けのレシピまで多数存在している。