■岩石を投げ、最後は正拳突き

 さらにこのドアンザク、姿だけでなく、戦い方もとんでもなかった。コア・ファイター(戦闘機)が撃ち込んできたミサイルをそこらの岩を投げつけて迎撃するわ、痩せ型のザクだからか異常に軽やかで高機動。現れた追手のザクにライダーキックを放ち、最後は見事な正拳突きでトドメを刺すという、特撮ヒーローばりの立ち回りを披露してくれるのだ。

 現在であったらSNSで祭りになってしまいそうだが、時代が時代だったこと、バトルシーンが面白すぎたこと、ドラマの良さも相まって、ファンにはむしろ神回として受け入れられている面もある。ちなみに破天荒な戦法にも後に、「脱走兵のため手持ちの武器は補給ができず、ドアン自身が格闘戦を得意としていた」という設定が付加されてもいる。ドアンザクはゲームでの登場もあるが、必殺技が岩石投げになっていたり、格闘能力が妙に高かったりするという“らしい”取り扱いになっているのも、開発陣の愛を感じさせてくれるところだ。

 災い転じてカルト的な人気を集めることになったこのドアンザクをどう扱うのかも、安彦氏の新作映画に期待したい大きなポイントになっている。願わくば、代名詞となった岩石投げはぜひ健在であってほしいところだ。

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