昔から漫画やアニメでは、ラブコメ系の作品を中心に“クリスマス”をモチーフにしたエピソードは定番といえる。感動的な話やハッピーな話が目立つ中、実は鮮烈な記憶として残っているのは「ギャグ漫画」に描かれたクリスマスエピソードかもしれない。
そこで今回は、ギャグ漫画史に残る屈指の名作の中から、とくに印象深いエピソードを厳選。3つの衝撃的なクリスマスエピソードを紹介しよう。
■クリスマスに反対する「モテない男の逆襲」
秋本治氏の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)にクリスマスを舞台に描かれた印象的なエピソードが存在。それはコミックス151巻に収録された「クリスマスVS男祭!! ~真冬の決闘~の巻」だ。
主人公・両津勘吉はクリスマスに予定がないモテない男たちを集め、カップルのためのイベントと化した昨今のクリスマスに怒りを見せる。そしてクリスマスに対抗し、「男祭」というお祭りを計画。ろうそく代わりに“たいまつ”をかかげ、クリスマスケーキの代わりに“牛丼”を食べ、ふんどし姿のモテない男たちが、カップルの集まる人気スポットを練り歩くという内容だった。
クリスマスのカップルたちの良い雰囲気をぶち壊す、両津の個人的なうらみが詰まったイベントは12月24日からスタート。ふんどし姿の怪しげな男たちが東京のデートスポットに出没する姿はニュース番組にも取り上げられ、リポーターから「クリスマスに反対するモテない男たちのデモ行進」と解説されていた。
■伝説のパワーワードが誕生!
続いて紹介したいのは、古谷実氏の『行け!稲中卓球部』(講談社)に登場したクリスマスエピソード。コミックス7巻に収録された「サンタルチア」という話には、忘れることのできない衝撃的なワードが飛び出した。
まるで『あしたのジョー』の矢吹丈のような独特の髪型をした井沢は、つきあい始めたばかりの神谷ちよこの家族が催すクリスマスパーティに招かれる。そのことを知った前野は、井沢の前で「サンタ狩り」なる謎のイベントを計画していることを漏らした。
その後、井沢は神谷家のホームパーティに参加するが、親友・前野が言い残した「サンタ狩り」のほうに興味津々で、神谷家でも上の空。結局「サンタ狩り」がどんな内容なのか、最後まで謎に包まれたままだったが、そのインパクトあふれるワードは読者の脳裏に焼きついた。