■青くなることでキャラが際立っていったデスラー
『宇宙戦艦ヤマト』は全26話構成なので、放送のほぼ半ばまできて突然、色が変更されたわけだ。
その理由について公式コメントのようなものは見つけられなかったが、どうやら地球人と区別しやすく、冷たい印象に見せるための変更だったというのが事の真相らしい。そして第11話の冒頭演出は、それまで地球人の登場人物と同じように見えていたのは室内照明の影響だったため、という説明シーンであったようだ。
たしかに“敵性異星人”というイメージからすれば青いガミラス人のほうがしっくりくるところだが、こんな斬新な手法で放送中に堂々とキャラ変を行ったのは今も昔も『ヤマト』だけではないだろうか。近年ブームになったアハムービーがこんな古い時代から、しかもアニメの中で活用されていたことにも驚きだ。
変更前のデスラーはちょっと中年おじさんっぽい雰囲気で、大ボスとして立つには少々インパクトに欠けるキャラだったというのがあらためて見ての感想だ。しかし、青い肌と金髪になったことで、若々しさもあるダンディな見た目に生まれ変わり、主人公・古代進とのキャラバランスも絶妙な具合になったと言っていい。色1つでキャラクター性はこうも変わるという、デスラーはそれを教えてくれるキャラクターでもあるだろう。
なお、ガミラス人についてはもう1つ大きな設定変更があり、当初は放射能を含む大気の中でしか生きられないという種族だったが、続編の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』以降は地球と同じ大気でも支障なく過ごしている。生身のガミラス人がいるところに放射能が満ちているとなると、地球人は宇宙服を着なければいけないし、逆もまたしかり。いろいろ面倒な設定だったので、キレイさっぱり消してしまったのかもしれない。