■無惨の細胞を消滅させ、自力で呪いを外した禰豆子の抵抗力

 すべての鬼は無惨の呪いで支配されており、無惨は血を与え、自身の細胞が混じる鬼の思考を読み、つねに居場所を知ることができる。そして、無惨の名前を口にした鬼は呪いが発動し、無惨の細胞によって体を内側から破壊されてしまう。

 例外は自分で体をいじって呪いを外したという珠世と、珠世が鬼にした愈史郎、自力で呪いを外したらしい禰豆子だけだ。「呪い=無惨の細胞」だとすると、鬼化はそのままであるものの、この3人からはそれは消えているということだ。禰豆子がいつ呪いを外したのかは明確には分かっていないが、珠世によると鬼になってすぐのころ、2年間眠り続けていたときに体が変化したのではないかと推測されている。

 禰豆子はのちに鬼の最大の弱点である太陽の光を克服している。原作を読み解くと、これは炭治郎にも共通する鬼としての素質らしいが、逆に考えれば抵抗力の強い体質だったともいえるところだ。

「禰豆子さんの血の変化には驚いています この短期間で血の成分が何度も何度も変化している」(第15巻)

 珠世が見た、禰豆子の血の激しい変化。これが体をどう変質させているのか。「人間に戻りかけてるのか 鬼として進化してるのか…」(第15巻)、珠世にしても分からないということだったが、結果は鬼化してしまった体を人間に戻すための変化だったのではないか。そして、それこそが無惨の細胞を消滅させ、鬼化も巻き戻そうとする禰豆子の体が持つ抵抗力。そんな鬼の天敵ともいえる禰豆子自身の血があって生まれたのが、爆血という血鬼術なのではないだろうか。

 ここで述べたのはあくまで推測でしかないが、『鬼滅の刃』はコミックス23巻で完結した完成した物語であると同時に、膨大な裏設定が用意された余白の多い物語でもある。登場人物1人1人の人物造形もとても深く、漫画のひとコマ、カバーを外した表紙にも情報がある。読み返すことで、まだ今まで気づかなかった新しい発見が見つかるかもしれない。

 ちなみに爆血は自らの血を燃やしているため、使えば使うほど禰豆子の体の血が減っていく。ふだん、爪で戦っているのは、爆血を使い過ぎると眠くなってしまうから、ということだ(第15巻170ページ「大正コソコソ話」より)。

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