『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨の血にあらがった竈門禰豆子「鬼殺しの爆血」が生まれた意味とは?の画像
画像はジャンプコミックス『鬼滅の刃』第11巻(集英社)

 吾峠呼世晴氏の漫画『鬼滅の刃』で“異能の鬼”と呼ばれる鬼たちが使う血鬼術。現在放送中のテレビアニメ「無限列車編」では下弦の壱・魘夢が眠りに落とす血鬼術を、上弦の参・猗窩座は“破壊殺”という血鬼術を使用し、鬼になった禰豆子も那田蜘蛛山における下弦の伍・累との戦いで“爆血”という自らの血を炎に変える血鬼術を開花させている。

 鬼ごとに血鬼術の種類はさまざまで、炭治郎が初任務で遭遇した沼鬼は、沼のような異空間を作る血鬼術を使い、鼓屋敷で遭遇した元下弦の陸・響凱は体から生やした鼓を打つことで、屋敷の部屋を回転させたり、空気を裂く斬撃を飛ばすという技を見せた。

 禰豆子の爆血にもいくつか効果があるが、他の鬼たちが使う血鬼術と違う特徴もかいま見える。爆血が持つ特殊な効果の意味をあらためて考えてみたい。

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 記事にはテレビアニメ以降のストーリーに関するネタバレを含んでいます。未読の方はご注意ください。

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■禰豆子に強く刻まれていた炎の記憶とは?

 爆血は禰豆子の血が燃え上がり、鬼を焼く炎になるという血鬼術だ。相手に付着させた血を燃やすこともでき、爆血で焼かれた傷は再生が遅くなるという特徴もある。上弦の肆・半天狗も爆血の炎から逃れようとしており、上位の鬼も嫌がるほどの強力な血鬼術であることが分かる。また、爆血の炎は人間が触れても熱くなく、鬼だけを燃やす特性を持っている。

 この、爆血の炎が鬼にだけ反応するということに、禰豆子の意志が関わっているのは明白だろう。

 禰豆子が血鬼術に開花したのは、累の糸から炭治郎を守るため。深層意識で亡き母に会い、炭治郎の窮地を救うために力を目覚めさせたからだ。また、禰豆子の血鬼術が炎という形で現れたのは、生家が炭焼きの家系というのが影響しているのだろう。

 鬼舞辻無惨の血を受けて、どのような鬼になるか、どのような血鬼術を開花させるかは人であったころの未練やこだわり、深層意識に残る記憶が関わる場合が多いという。

 たとえば猗窩座が破壊殺から繰り出す技は彼が人間時代に修行していた素流という武術が基になっており、響凱は鼓を打つことを人間時代の趣味としていた。炭治郎が「俺 炭焼き小屋の息子なんで! 料理は火加減!」(コミックス第16巻)と自慢したように、炭焼きにとって火は切っても切り離せないもの。禰豆子は炭焼きこそしなかっただろうが、炎が踊る竈に向き合う父・炭十郎の姿や、兄・炭治郎の姿が記憶に強く刻まれているに違いない。

 そんな爆血の炎。鬼だけを燃やすというより、正しくは無惨の血(細胞)が混じるすべて、血鬼術すら燃やすというのが正解なのだろう。累が血鬼術で作り出した糸、魘夢が血鬼術で細工した縄や切符を燃やしたことからもその特性はうかがえる(切符を燃やす描写は本編にはないが、第7巻150ページの「大正コソコソ補足話」で明かされている)。また、「遊郭編」では上弦の陸・妓夫太郎の毒に犯された炭治郎、伊之助、天元の体から毒だけを燃やし、きれいさっぱり回復させている。

 爆血は無惨の細胞と、無惨の子といえる鬼を殺すことだけに特化した特異な血鬼術だ。本来なら無惨に支配される鬼から生まれることはないだろうし、仮にそんな考えを持とうものなら無惨に粛清されるに違いない。ではなぜ、禰豆子はそんな血鬼術を生むことができたのか。おそらく、これには無惨の呪いが関係していると考えられる。

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