10月16日よりテレビアニメ『鬼滅の刃 無限列車編』の放送が始まり、再びブームを起こしている漫画『鬼滅の刃』。同作では家族愛や、兄弟関係が色濃く描かれ読者に感動を与えている。その最たるものが主人公の竈門炭治郎と竈門禰豆子だろう。母や幼い兄弟をみな鬼に殺された炭治郎が、唯一生き残った妹の禰豆子のためにけなげに奔走する姿には日本中が熱い応援を送った。
『鬼滅の刃』には炭治郎と禰豆子以外にも、深い絆で結ばれた兄弟関係が多く、ときには敵である鬼たちの悲しき兄弟関係が描かれることも。今回は鬼殺隊のメンバーにスポットを当てて紹介しよう。
■強き柱たちが抱える弟への想い
まずは劇場版で熱い活躍を見せた炎柱の煉獄杏寿郎。彼には、外見のそっくりな弟の千寿郎がいる。しかし性格は兄とはまったく違うようで、いつも眉を下げた弱気な顔をしており、日輪刀の色が変わらなかったことから剣士になれなかった。
しかし千寿郎は兄を慕っており、杏寿郎もまた弟を大切に思い、すっかり自堕落な生活を送る父に代わって「どんな道を歩んでもお前は立派な人間になる!」と、ときには親のように弟を励まし続けた。杏寿郎が殉職した後は炭治郎が煉獄家に訪ねたことをきっかけに、千寿郎はのちに重要となる炎柱の書の内容を読み解くなど、兄の教えを胸に彼らしい形で無惨の討伐に貢献した。
昔より関係性が良好だったと思われる煉獄兄弟とは打って変わって、兄弟間で長きにわたる確執があったのが不死川兄弟だ。
彼らの重い過去はコミックス13巻で明かされる。幼き頃、鬼となった彼らの母親が家族を襲いに来たときに、兄の実弥は家族を守るため単身で戦い鬼を葬った。そしてそれを見ていた唯一の生き残りの弟の玄弥は、兄が母を殺したと勘違いし兄を責め立て罵ってしまう。以降、鬼殺隊に入って兄に謝りたいと思う玄弥と、玄弥には鬼とは関係ないところで平穏に過ごしてほしいと思うが冷たい態度しかとれなかった実弥は、物語終盤まですれ違い続けてしまう。
多くの兄弟を失い、生き残ったのは二人の兄弟だけという構図は炭治郎と禰豆子と一緒だが、彼らのように手をとり合えずに道を違えてしまったというのは、なんともつらいところ。コミックス23巻では無邪気に笑う禰豆子の表情に玄弥の面影を見て穏やかにほほ笑む実弥の姿が描かれるが、彼の本来の性格はこちらだったのかもしれないと思わされる描写に心が締めつけられてしまう。