井上雄彦氏によるバスケ漫画『SLAM DUNK』(集英社)。今年8月には、2022年秋に井上氏の監督のもと映画化されることが発表されており、連載終了から25年がたった現在も根強い人気を誇る名作だ。
主人公の桜木花道を中心に、赤木剛憲、三井寿、宮城リョータ、流川楓ら湘北高校バスケ部メンバーの活躍を描いたスラダン。超高校級の選手たちによる手に汗にぎるゲーム展開が魅力だが、一方で忘れてはならないのが初期の頃に見られたヤンキー漫画要素で、多くの愛すべき不良キャラが登場した。連載当時から特に人気が高かったのは花道の親友の水戸洋平だが、ほんの脇役ながらもつい感情移入してしまうような男気あふれる不良キャラがもう一人いる。それが、堀田徳男(ほったのりお)である。
湘北高校三年の番長として第1話から登場した徳男。三井寿がバスケ部に戻りヤンキー要素が無くなるまではたびたび登場しており、そのため初期は知名度もそこそこ。6巻あたりで行われた本誌の人気キャラアンケートでは堀田徳男が全体の14位で、歯抜けのヤンキーキャラだった三井の18位を超えていた(2回目のアンケートでは三井が2位に)。本記事では、そんな堀田徳男の魅力を振り返りたい。
■初期はただのかませ犬番長だった堀田徳男
堀田徳男の初登場シーンは、花道に殴られた仲間の失態を知り仕返しを決意する場面だ。花道を放課後の屋上に呼び出すものの、花道はハルコに誘われてバスケ部に見学に行ったため、仕返しすることはかなわず。その翌日、教室まで訪ねて再び桜木を屋上に呼び出すが、この日の屋上には流川楓という先客が……。花道や洋平が屋上に着いた頃には徳男たちは流川によってボコボコにやられていた。
このように初期の徳男は、花道たちに絡む不良軍団のリーダーであった。これだけだと語るべき生き様は特にないように思われる。だが、この後の展開で徳男が同じ三年である三井寿と友人関係にあることが判明し、意外な素顔を見せ始めるのだった。