■ラストシーンの感動を増幅させた小さな変更

 煉獄杏寿郎は、これからの鬼殺隊を担う炭治郎たちに最期の言葉を託して逝った。悔しさや己のふがいなさ、そして悲しみで涙が止まらない炭治郎たちを見下ろすように、1羽の鎹鴉(かすがいがらす)が炎柱の訃報を届けるために飛んでいく。

 これは原作漫画にもあったシーンだが、劇場版の『無限列車編』ではカラスが涙を浮かべながら飛んでいるカットが新たに追加されていた。

 どの隊士のカラスだったのかは定かではないが、このシーンが含まれる原作の第66話「黎明に散る」の扉絵には、生前の煉獄杏寿郎と鎹鴉が一緒に描かれていた。それを考慮すると、あれは煉獄のカラスだったと考えるのが自然なのかもしれない。もしそうだとすれば、主を失った悲しみをこらえながらも任務を果たそうとするカラスのけなげな姿にグッとくる……。


 このほかにも、原作漫画とアニメ映画で少し異なっているシーンはいくつも存在する。お気に入りのシーンをコミックスと見比べてみれば、もしかすると新しい発見や感動が生まれるかもしれない。

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