■のちの作品にも継承された伝統的な武器?
4つ目の奇抜な武装は『機動戦士ガンダム』に登場する「ガンダム」が使用した「ガンダムハンマー」です。長いチェーンの先にトゲつきの鉄球がある、いわゆるモーニングスターのような形状をした武器。さらに鉄球部分にバーニアを内蔵した「ハイパーハンマー」も開発されるという力の入れ具合でした。
ビームライフルやビームサーベルといったビーム兵器があるのに「なぜ鉄球なのか」。そんな疑問をいだいた方も多いのではないでしょうか。ぶっちゃけてしまうと、どうやら当時のスポンサーだったおもちゃ会社の意向だったようです。デザインも、同じスポンサーの『無敵鋼人ダイターン3』の「ダイターンハンマー」をほぼ踏襲しています。
とはいえ宇宙空間で大質量の物体を敵にぶつけるのは有効な戦術らしく、作中では強力な武装という設定。しかも物語序盤によくエネルギー切れを起こしていたビームライフルのような“弾切れ”がない点も利点です。ただし問題なのは射程の短さと命中率。作中ではゴッグのようなパワーのある機体に、ハンマーを受けとめられてしまうという弱点も露呈していました。
そんな残念な面も多いガンダムハンマーですが、主人公機がトゲつき鉄球を振り回すシュールな姿は妙な人気を博し、出番の割に知名度は抜群。さすがはおもちゃメーカーがわざわざ要請した武装といったところでしょうか。
この意外な人気をくみ取ったのか、『∀(ターンエー)ガンダム』にも正式な武装として「ガンダムハンマー」が登場し、視聴者を驚かせました。『機動戦士ガンダム』当時、設定だけが存在したというトゲ部分が加熱・爆発して追加ダメージを与えるという機構がリファインされ、時を越えて生まれ変わったトゲつき鉄球がファンの胸をアツくさせてくれました。