パンサー菅「これは新ジャンル自己啓発少女漫画」見たことないキャラ&予想不可能な物語展開『アレンとドラン』の魅力の画像
パンサーの菅良太郎さん(写真は本人提供)
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 どうもみなさん、私吉本興業でパンサーというイベントサークルの代表をやらせていただいてる菅良太郎と申します。イベントサークルの内容と致しましては「2000年代のギャル、ギャル男の完全復活」を目標にこれからも頑張ってまいりますので以後お見知り置きを。

 私39歳男子なのですが、少女漫画が好きでこのふたまん+で少女漫画についてのコラムを書かせていただいている次第でございます。さて今回ご紹介いたしますのは、麻生みこと先生による『アレンとドラン』でございます。

 この作品はちょっと普通の少女漫画とは違います。まず主人公がサブカル系。お話の冒頭があの遊べる本屋さんから始まり、主人公の林田(リンダ)が私はここで産まれたと回想するところから始まります。

 林田は並のサブカルぶっているような女子ではございません、本物の映画オタク。普通に生きていれば聞いたことのないようなフランス映画の巨匠の大ファンだったりします。それを本人は当たり前だと思っているから周りの同級生とも話が合わず、サブカル系不思議ちゃん扱いされ少し敬遠されてしまっています。友だちのいない林田はSNSの世界でだけ自由に羽が伸ばせるような変わった主人公なんです。

 でもね、これが漫画のいいところなんだけれども、両方の気持ちが分かるからどちらも悪いとは言えないんですよね。俺現実で林田が同級生だったら絶対仲良くなってないですもん。

 そんな聞いたこともない映画言われて「知らないの?」なんて言われた日には、人としての器がおちょこの裏側ほどに小さい私にとっては、「えーセンス終わってるね、観て分からなかったとかじゃなくてそもそも知らないんだ。それで映画結構好きなんだよねとか言えちゃうタイプ? あんたが好きな映画とか全部同じ話に思えちゃうんだよね。ってかアレって映画って言っていいのかな?笑  なんかごめんね、あなたたちとは持って生まれた面白いの概念がそもそもが違うんだよね」って言われてる気になるのよ。(私が器0なだけで林田はなんの悪気もない)

 でもこの林田、本当に映画を純粋に好きなだけでなんの悪気もないんですよね。読者から見たら、周りと知識が共有できないためにSNSに感想を書いて気分を紛らわせている林田の気持ちが十分分かる。だからこの時点で誰も悪くないし誰も憎む人がいないといういいバランスでお話はスタートしていきます。

 感想を書くSNSには当然いろいろな人がいて、趣味が合う人ももちろんいます。その中でガッツリ趣味が合う人と映画の話で盛り上がる林田。会話の流れで二人は映画を観に行くオフ会という名目で出会うことになります。

 さぁ、少女漫画っぽくなってまいりました。やっぱここでいったん、読んでる側も想像しちゃいますよね? どんな人だろって。SNSの文面の感じだとちょっとチャラい感じもしたから、まさかの映画オタクチャラ男? それともかわいい系? それとも小さい頃に引っ越していった幼なじみの面影を感じる人? ドキドキしながらページをめくると、そこにはただの仕事帰りスーツおじさんが。

 ???となっていたのですが、やはりその???は合っていました。

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