漫画『こっちむいてよ向井くん』『深夜のダメ恋図鑑』で描かれる“刺さる”男女の恋愛観の「ズレ」の画像
(左から)『こっちむいてよ向井くん』第1巻(祥伝社)『深夜のダメ恋図鑑』第1巻(小学館)

 SNSの隆盛で誰もが「発信者」になれる時代。ツイッターでは元カレや周りにいる男性の「ダメ男&クズ男」エピソードをさらすツイートが定期的にバズっているが、「いつか自分も書き込まれるんじゃないか?」と恐怖に襲われ、男女交際の難しさを痛感している男性も少なくないはず。

 また「ハラスメント」に関する話題も多い昨今、自分が「セクハラ」「モラハラ」「パワハラ」などの加害者になることにおびえ、女性との関係構築にハードルの高さを感じる男性も多いのではないだろうか。

 これらのことの根底には、男性と女性の恋愛観の「ズレ」があるように思う。ではどんな「ズレ」なのか。それをリアルに描き切ったのが、今回紹介したい2作品の漫画だ。

■「守るって何?」

 まずは今年1月にコミックス第1巻が発売となった、ねむようこ氏による漫画『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社)。

 主人公は、35歳で“彼女いない歴10年”の会社員・向井。漫画冒頭では、向井が10年前につきあっていた元カノ・美和子との会話の回想が描かれる。その中で向井は「美和子のことずっと守ってあげたい」と想いを口にするが、返ってきたのは「守るって何?」という辛辣なセリフ。そしてその後、すぐに破局を迎えてしまうのだった……。

 10年が過ぎ、「もしあのとき彼女を守る甲斐性があったら俺は今頃……」と未練をにじませる向井が、職場やプライベートで新たな出会いを経験していく中で、周囲の女性たちとの「ズレ」が徐々に明らかになってゆく……というあらすじだ。

「誰かを守りたい」という気持ちは大切かもしれないが「男だから」という理由に執着するとどうなってしまうのか? 同作は女性向け漫画誌『フィールヤング』での連載作だが、男性読者がハッとしてしまうようなセリフのオンパレード。ぜひその目で確かめてほしい。

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