■登場人物全員が、誰かのために一生懸命だった「クウガ」

『クウガ』で主演を務めたオダギリジョーは、2015年の『高寺成紀の怪獣ラジオ』(調布FM)にて、かつては1999年放送のスーパー戦隊『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のオーディションを受けるも「“変身”とかしたくないんですよね」と拒否して追い出されたことや、「特撮は好きじゃない」という発言をしている。

 しかし、同時に「クウガ黒歴史説」については真っ向から否定しており、「平成ライダーの他のシリーズは観てないし、相変わらずヒーロー物は好きじゃないけどクウガは大事」としているほか、今後の特撮出演については、「脚本次第、面白い作品ならやる」と明言しているのだ。

 当時のスタッフやキャストとの交流も続いており、2019年5月に「グロンギ飲み」と題して、『クウガ』に登場した悪の怪人グロンギを演じたキャストや当時の監督、プロデューサーらが集結した同窓会に参加した様子が、参加した女優・木戸美歩のツイッターで明らかになっている。

 このコロナ禍の時代だからこそ、あらためて『クウガ』復活を望む声は多い。平成ライダーは、人間同士のドロドロしたドラマも見どころだが、『クウガ』後のシリーズと比較すると登場人物が「自分にできることをする善人」で固められている。主人公である五代雄介(オダギリ)だけでなく、葛山信吾演じる一条薫刑事を筆頭とした、警察チームなどもそうだった。登場人物全員が、誰かのために一生懸命だった。

 これは、現在のコロナ禍のご時世にこそ、我々があらためて学び直す必要がある部分だ。そういう意味でも、ぜひとも現代に「当時のスタッフが集結したオダギリジョーのクウガ」を復活させてほしいところだ。可能性はあるだろうか?

 先述の記者会見で東映の白倉伸一郎取締役は、「50周年記念は(今回発表された)この3本だけではございません」「イベント、商品展開含めてさまざまな盛り上がりで、シリーズを盛り立ててまいります」としている。

 東映といえば「平成ライダー完結編」を意識して製作された2018年の映画『平成ジェネレーションズFOREVER』にて、出演不可能と思われていた佐藤健を、事前告知一切なしにサプライズ出演させたことがある。

 さらに、2019年の映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』では「オダギリジョーが出るんじゃないか?」「竹内涼真が出るんじゃないか?」というファンの予想斜め上をいく、まさかの「仮面ノリダー」こと木梨猛(とんねるず木梨憲武)を出演させたりと、そのサプライズ的演出に定評がある。

 残念ながら当時『クウガ』のチーフプロデューサーを務めていた高寺成紀プロデューサーはすでに東映を退社しているが、東映にはアニバーサリーイヤーを飾る素敵なサプライズに期待したい!

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