■善悪の区別がつかない魔人
魔人ブウが復活した頃、一般社会で最強と呼ばれていた格闘家がミスターサタンだ。悟空たちが出場しなかった天下一武道会で優勝したサタンは、実力はともかく魔人ブウに多大な影響を与えた人物として知られる。
魔導師バビディによって封印を解かれた魔人ブウには善悪といった概念がなく、バビディの命令に従って破壊活動を行う。ただ命令されることに嫌気がさしたブウは、バビディを殺害。こうして最強の魔人が世に解き放たれた。
その後ミスター・サタンと出会ったブウはサタンを気に入り、彼の言う「人を殺さない」「街を壊さない」という言葉に素直に従って行動。地球最強の魔人を善の存在に変えたのは、まぎれもなくサタンの功績だ。
結局、２人組の悪人がサタンと仲良しの犬を撃ったことでブウの怒りは抑えられなくなり、魔人ブウは“善”と“悪”の２人に分裂してしまうのだが、言葉と行動で最強の魔人を善の道に導いたサタンは、もっと褒められてもいいと思う。
■アニメで改心？した因縁のキャラも
余談にはなるが、原作漫画で悪のまま死んでいった宇宙の帝王・フリーザにも、テレビアニメ『ドラゴンボール超』の中で孫悟空を手助けするという衝撃的な場面があった。
「力の大会」と呼ばれる全宇宙の戦士による武道大会で、ジレンという強者と激突。この戦いでフリーザは、悟空と交わした「生き返らせる」という約束を盾に共闘を開始する。いきなり息の合ったコンビネーションを見せた悟空＆フリーザの壮絶な戦いぶりは、観戦していたベジータを絶句させたほど。
このフリーザの行動は原作漫画には無いアニメのオリジナルストーリーの出来事なので、今回の「光落ち」キャラには含まなかったが、『ドラゴンボール』ファンにとっては驚きのシーンだった。
今回紹介してきた「敵から味方になる展開」は、少年漫画においては王道の展開でもある。しかし、それぞれのケースを個別に振り返ると、ひとつも同じパターンはなく『ドラゴンボール』らしいスパイスがつけ加えられていた印象。そのあたりにも『ドラゴンボール』が大ヒットした魅力が秘められているのかもしれない。
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